

犬の肺高血圧症について|疲れやすい原因は心臓の病気かも?
2025年06月21日カテゴリ|コラム
犬の肺高血圧症について|疲れやすい原因は心臓の病気かも?
犬の肺高血圧症は高齢の犬でよく見られる肺動脈と呼ばれる血管の病気です。
「最近犬が疲れやすい」
「犬の呼吸が苦しそう」
「犬が気を失ってしまうことがある」
このようなお悩みをお持ちの方はいませんか?
もしかしたら肺高血圧症になっているかもしれません。
今回は犬の肺高血圧症について解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の肺高血圧症についての理解を深めましょう。
犬の肺高血圧症とは?
犬の肺高血圧症とは肺動脈と呼ばれる血管の血圧が高くなることを指します。
肺動脈とは心臓の4つの部屋のうち右心室から肺に血液を送る血管のことです。
肺高血圧症は症状の名前ではなく、肺動脈の血圧が高くなる病態のことを言います。
肺高血圧症の原因はさまざまですが、高齢の犬ほどなりやすいのが特徴です。
肺高血圧症の症状とは?
肺高血圧症にかかるとどのような症状を示すのでしょうか。
犬の肺高血圧症は初期症状として
- 息切れする
- 食欲がなくなる
- 疲れやすくなる
- 咳が出る
などが出ます。
悪化してくると
- 呼吸困難
- 運動後や興奮時に気を失う
- けいれんを起こす
- チアノーゼ
などの症状がみられることがあり、最悪の場合は突然死につながってしまいます。
犬の肺高血圧症の原因は?
犬の肺高血圧症には、呼吸器や心臓の疾患など様々な原因があります。
肺高血圧症は大きく分けると原因によって6つの分類があります。
- 肺動脈性肺高血圧症
- 左心疾患によるもの
- 呼吸器疾患によるもの
- 肺血栓塞栓症によるもの
- フィラリア症によるもの
- 原因不明
の6つです。
1つずつ解説していきましょう。
肺動脈性肺高血圧症
肺動脈性肺高血圧症とは、肺動脈の血管の中が狭くなったり塞がってしまったりすることで血圧があがることを言います。
先天性の病気である動脈管開存症や心室中隔欠損といった心臓の病気が原因となることが多いです。
先天性の心疾患によって一時的に肺動脈に流れる血液の量が増えて、肺動脈が狭くなってしまうことが原因です。
先天性の心疾患を指摘されたことがある方は、注意してください。
また、小さい時からしっかり健康診断を受けることが重要です。
左心疾患によるもの
犬の肺高血圧症の原因としては一番多いのが左心疾患によるものです。
犬の肺高血圧症で多い左心疾患は、僧帽弁閉鎖不全症です。
僧帽弁という心臓で血流を送る役割をしている弁によって肺に血液がたまり、心臓から肺へ血液が送りにくくなることが原因で起こります。
高齢の犬は、僧帽弁閉鎖不全症を発症することがあります。
肺高血圧症になっていないか注意が必要ですね。
呼吸器疾患によるもの
呼吸器疾患による肺高血圧症は、肺に酸素が取り込みづらくなることで起こります。
酸素が取り込みづらくなることで、血液中の酸素が少なくなってしまうのが原因です。
血液中の酸素が少なくなると、肺動脈が収縮して肺高血圧症になってしまいます。
犬ではウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアによく起こる特発性肺線維症という病気が肺高血圧症を引き起こしやすいです。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア通称ウエスティを飼っているご家族の方は、注意しましょう。
肺血栓塞栓症によるもの
肺血栓塞栓症による肺高血圧症は、肺の血管が詰まってしまうことで、肺に血液が流れづらくなることで起こります。
フィラリア症によるもの
フィラリア症による肺高血圧症は肺血栓塞栓症と同じように、血管にフィラリアという寄生虫が詰まってしまうことで起こります。
フィラリア症の予防は毎年行っていると思いますが、肺高血圧症の予防のためでもあります。
必ず病院で検査をしてもらってしっかり予防に努めましょう。
原因不明
犬の肺高血圧症は原因がはっきりとはわからない場合があります。
原因がわからなくても肺高血圧症が起こっているときは、治療をしなければなりません。
獣医師としっかり相談しましょう。
肺高血圧症はどうやって診断するの?
犬の肺高血圧症は
- 身体検査
- レントゲン検査
- 心臓のエコー検査
- 血液検査
- 血中酸素濃度の測定
などで肺動脈の拡張や心臓の血流の逆流を見ながら総合的に判断します。
肺高血圧症は重度になると興奮で失神してしまうことがあります。
検査に関しては獣医師と相談しながら行っていきましょう。
犬の肺高血圧症の治療は?
犬の肺高血圧症の治療は、肺高血圧症を引き起こす原因疾患の治療を優先して行う必要があります。
原因となっている心疾患や呼吸器疾患に対して、治療を強化することが肺高血圧症の治療に繋がります。
そのため肺高血圧症の治療では、検査で原因を調べることが大切になりますね。
原因疾患の治療に加えて、肺動脈の血圧を低下させ症状を緩和させる治療も行います。
肺動脈の血圧を低下させるには、肺の血管の通りをよくする肺血管拡張薬などの内服薬を使用します。
まとめ
犬の肺高血圧症は重症度によっては命に関わることがあります。
最近犬が疲れやすいなど、気になることがあれば動物病院に早めに相談しましょう。
当院では心臓の治療に力を入れています。
犬の肺高血圧症は心疾患が原因となることが多い病気です。
心臓のエコー検査やレントゲン検査などでしっかりと原因を調べることが重要です。
肺高血圧症が疑われる場合や、思い当たる症状がある場合は、ぜひ当院へご来院ください。
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