トイプードルでよくみられる皮膚病について|ご家庭でもできる対策とは?
2025年10月28日カテゴリ|コラム
トイプードルでよくみられる皮膚病について|ご家庭でもできる対策とは?
トイプードルは、ふわふわとした毛とかわいらしいお顔から、とても人気の犬種です。
人懐っこくしつけもしやすいため、初めて犬を飼う方でも飼いやすいのも魅力ですね。
しかし、トイプードルにはかかりやすい皮膚病があることをご存知でしょうか?
今回は、トイプードルでよくみられる皮膚病について、ご家庭でできる対策とともにご紹介します。
トイプードルを飼っている方はぜひ最後までお読みいただき、愛犬の皮膚をケアする際のご参考にしていただければ幸いです。
トイプードルの特徴
トイプードルという犬種はプードルを小型化したものです。
プードルは元々、狩猟の際に水辺のカモを回収する猟犬でした。
上記の役割から、トイプードルも水を弾きやすい皮膚であり、皮脂が多めであるのが特徴です。
トイプードルには毛が抜けづらいという特徴もあります。
通常、犬の毛は
- 成長期
- 退行期
- 休止期
という毛周期をくり返すものです。
しかし、トイプードルはほぼ100%の毛が成長期であるため、毛が抜けずに伸び続けます。
トイプードルに多い皮膚病
トイプードルに多い皮膚病には、以下のようなものがあります。
犬アトピー性皮膚炎
トイプードルでは、遺伝的素因があるために犬アトピー性皮膚炎を起こしやすいと言われています。
犬アトピー性皮膚炎は、
- 環境中のアレルゲンに対するアレルギー反応
- 皮膚のバリア機能の低下
- 皮膚常在菌のバランスの乱れ
などが原因で発症します。
犬アトピー性皮膚炎になると、皮膚が赤くなったり、痒がったりするようになります。
脂漏症
脂漏症は、皮脂分泌が過剰になったり、皮膚のターンオーバーが乱れたりすることで起きます。
脂漏症の症状には、
- 皮膚が脂っぽくベタベタする
- 独特なにおいがする
- 痒みや赤みを伴う
といったものがあります。
皮膚が重なる場所に症状が出やすく、主な発症部位には、
- 脇
- 指の間
- 内股
などが挙げられます。
脂漏症の皮膚は、真菌(カビ)や細菌が増殖しやすく、症状が悪化しやすいため注意が必要です。
膿皮症
膿皮症は、主にブドウ球菌が異常に増殖することで起きる皮膚炎です。
膿皮症の症状には、
- 脱毛する
- 痒みや赤みを伴う
- 湿疹や水疱ができる
- フケがでる
といったものがあります。
ブドウ球菌は犬の健康な皮膚にも存在しますが、
- ジメジメとした環境
- バリア機能が低下している皮膚
では異常に増殖し、膿皮症を起こします。
犬アトピー性皮膚炎や皮脂バランスの崩れた犬では、バリア機能も低下するため、膿皮症を発症しやすいです。
心因性掻痒症
心因性掻痒症とは、ストレスが原因で、
- 皮膚をしつこく舐める
- 皮膚を何度も噛む
- 毛をむしる
といった行動が見られる病気です。
トイプードルは賢く繊細なため、環境の変化や長時間の留守番などからストレスを感じ、発症してしまうことが多いのです。
トイプードルの皮膚病への対策
トイプードルの皮膚病を予防するには、
- 皮脂が過剰にならないようにする
- 皮膚のバリア機能を維持する
- ストレスをできる限り減らす
といった対策が効果的です。
具体的にご家庭でできる対策についてご紹介します。
シャンプー
シャンプーをすることで、皮膚の汚れや過剰な皮脂を取り除くことができます。
皮膚を衛生的に保つためにも、定期的にシャンプーすると良いですね。
シャンプーには、
- 脱脂作用の強いもの
- 保湿に特化したもの
- 抗菌成分を含むもの
など、さまざまな種類があります。
愛犬の皮膚の状態に合わせて、適切なシャンプーを選びましょう。
保湿
健康な皮膚を保つためには、保湿も重要です。
保湿をすることで、皮膚のバリア機能を維持することができ、皮膚病の予防につながります。
定期的なトリミング
トイプードルはトリミングが必要な犬種です。
伸びすぎた毛や毛玉は皮膚を不衛生にしてしまうため、定期的にトリミングを行いましょう。
腸内細菌叢の正常化
腸内細菌叢のバランスが正常に保たれていると、免疫機能が高まり、皮膚のバリア機能を維持することにもつながります。
栄養バランスの良いフードを使用するほか、乳酸菌などプロバイオティクスのサプリメントを活用するのもおすすめです。
ストレスの緩和
犬にストレスがかかっている場合でも、原因を排除するのがなかなか難しいことも多いですよね。
ストレスの緩和のために、
- リラックス成分を含むサプリメントの活用
- 犬との触れ合いの時間を増やす
- 散歩やボール遊びなど運動させる
などを取り入れていただくのがおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
トイプードルは毛や皮膚の特徴から、さまざまな皮膚病を起こしやすい犬種です。
しかし、ご家庭でも皮膚病への対策を取り入れることで、皮膚病を予防したり症状を緩和したりすることができます。
当院は皮膚科にも力を入れております。
トイプードルの皮膚のベタつきや痒みでお悩みの方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
松井山手動物病院
キャバリアでよくみられる皮膚病について|原因と対策を解説
2025年10月21日カテゴリ|コラム
キャバリアでよくみられる皮膚病について|原因と対策を解説
キャバリア(キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル)は、気品ある見た目と人懐っこく遊び好きな性格で人気の高い犬種です。
長く美しい被毛に惹かれてお迎えした飼い主さんも多いでしょう。
一方で、皮膚トラブルが起こりやすい犬種でもあります。
症状が繰り返しあらわれ、「何度治療しても再発する…」と悩んでいる飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はキャバリアに多い皮膚病と、皮膚を守るために飼い主さんができることをまとめました。
ぜひ最後までお読みいただき、日頃のケアにお役立てくださると幸いです。
キャバリアの特徴
キャバリアはイギリス原産の小型犬で、「中世の騎士」を意味します。
おおらかで懐っこい性格から、ファミリーにも人気の犬種です。
被毛はダブルコートで、オーバーコート(表面を覆う荒い毛)とアンダーコート(皮膚近くを覆う密な毛)の二重になっています。
一年を通して抜け毛が多く、また、長く柔らかい被毛を持つため毛玉ができやすいのも特徴です。
毛玉は皮膚を引きつれさせ、通気性を悪くすることで皮膚病の原因になります。
こまめなブラッシングを心がけましょう。
キャバリアで多い皮膚病
キャバリアでよく見られる皮膚病には、以下のものがあります。
犬アトピー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎は、主に以下の要因が絡み合うことで発症します。
- 花粉など環境中のアレルギー物質に対する炎症反応
- 皮膚のバリア機能異常
- 皮膚常在細菌のバランス異常
症状はかゆみやフケ、皮膚の赤み、湿疹などです。
これらの症状が初めて見られるのは1〜3歳が多いですが、高齢になってからの場合もあります。
発症初期は高温多湿の夏に悪化するなどの季節性があるものの、やがて慢性化し、一年を通して症状が続く状態となることが多いです。
治療は内服薬、外用薬、シャンプーなどのスキンケアを組み合わせて行われます。
完治は難しい病気のため、「寛解(症状がない、またはほとんどない状態)」を目指すことが治療のゴールです。
食物アレルギー
食物アレルギーは、小麦や肉類など特定の食べ物に対するアレルギー反応によって発症する病気です。
多くは1歳までに発症します。
いずれも非季節性に、犬アトピー性皮膚炎に似た以下のような症状が出ます。
- かゆみ
- フケ
- 赤み
- 湿疹
症状だけでの診断は難しく、犬アトピー性皮膚炎と併発することもしばしば。
食物アレルギーの診断は、感染症などの皮膚病ではないことを確かめた後、原因となる食材を除いたフードを数ヵ月単位で試し、症状との関連を見て行います。
犬アトピー性皮膚炎を合併していない場合は、原因となる食材を除いた厳格な食事管理により、症状のコントロールが可能です。
マラセチア皮膚炎
マラセチアは皮膚・粘膜の常在菌である酵母(カビ)の一種です。
普段は特に悪さはしませんが、夏場の高温多湿環境など何らかの原因により過剰に増殖することで皮膚炎を引き起こします。
犬アトピー性皮膚炎の犬では皮膚のバリア機能が低下しているため特にマラセチア皮膚炎を発症しやすく、その上犬アトピー性皮膚炎の悪化要因ともなります。
マラセチア皮膚炎の症状は以下のとおりです。
- 皮膚の赤み
- 皮膚の肥厚
- フケ
- かゆみ
- 独特のニオイ
マラセチア皮膚炎は患部から採った皮膚のかけらを染色し、顕微鏡でマラセチアを確認することで診断します。
治療の基本はこまめなシャンプーです。
症状により外用薬や内服薬も用います。
脂漏症
脂漏症は、遺伝的要因で皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が早まり、皮脂の分泌が過剰になることで起こる病気です。
ベタつきやフケ、かゆみが主な症状で、多くは2歳までに発症します。
加齢に伴って慢性化し、かき壊しにより皮膚が厚く硬い象の皮膚のようになってしまうことも。
お腹や脇の下、内股など擦れるところに症状が出やすいです。
脂漏症の犬はマラセチア皮膚炎や細菌感染を起こしやすく、症状悪化の原因にもなります。
完治はしませんが、脱脂作用や角質溶解作用のあるシャンプーを定期的に使用することで、症状のコントロールが可能です。
膿皮症
膿皮症は、皮膚常在菌であるブドウ球菌が異常増殖して炎症を起こすことで発症します。
高温多湿な夏場は特に発症しやすいです。
また、犬アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなど、皮膚バリアが低下する基礎疾患を持っているとより起こりやすくなります。
症状は以下のとおりです。
- かゆみ
- 湿疹
- かさぶた
- フケ
- 皮膚の赤み
- 脱毛
これらの症状はキャバリアの長い毛で隠れてしまうことも多いため、注意が必要です。
膿皮症は基本的に消毒薬や外用薬で治療しますが、症状の程度によっては内服薬を用いることもあります。
抗菌剤が含まれたシャンプーも異常増殖したブドウ球菌を減らすのに有効です。
家庭でできる皮膚病への対策
「皮膚病かな?」と感じたら、まずは獣医師の診察を受けて原因を特定・診断することが重要です。
以下のような気になる症状があれば早めに受診しましょう。
- 体をしきりに掻く
- 手足や体を舐める
- 皮膚の赤み
- 湿疹
- フケ
- 脱毛
ただし、皮膚病は長い付き合いになることが多いため、自宅でのケアが大きなポイントとなります。
以下に紹介するような適切なケアにより、皮膚病を予防することもできます。
ブラッシング
キャバリアは長い被毛を持つため、こまめなブラッシングが必要不可欠です。
毛玉は蒸れや通気性の悪化を招き、皮膚トラブルにつながります。
ブラッシングは皮膚のマッサージやスキンシップにもなるため、積極的に行いましょう。
シャンプー
シャンプーは皮膚病治療の基本です。
以下のように、原因に合わせて適切なシャンプーを使い分けましょう。
- 犬アトピー性皮膚炎・食物アレルギー:保湿効果のあるもの
- マラセチア皮膚炎:抗真菌薬を含むもの
- 脂漏症:脱脂効果のあるもの
- 膿皮症:抗菌薬を含むもの
洗いすぎやゴシゴシ洗いは皮膚に刺激となるため、注意が必要です。
ぬるま湯で優しく洗い、よくすすぎ、しっかり乾かしてあげましょう。
保湿
犬アトピー性皮膚炎など、アレルギー体質の犬では皮膚が乾燥してバリア機能が低下しています。
かゆみなどの症状改善には適切な保湿が効果的です。
食事・サプリメント
皮膚の健康を保つ成分(オメガ3脂肪酸、ビタミン類など)を含むフードやサプリメントで、症状が改善することがあります。
また、食物アレルギーの場合は、原因となる食材を含まないフードを与えること自体が治療です。
おやつなどを与えたくなる気持ちをぐっとこらえ、厳格な食事管理を心がけましょう。
まとめ
皮膚病の治療では、症状が良くなっても自己判断で薬をやめないこと、定期的なチェックを受けること、異変があれば早期に受診することがとても大切です。
一部の皮膚病は完治が難しいものもありますが、その子に合った治療やスキンケアを行うことで、症状をコントロールし、快適な生活を送ることが可能です。
愛犬にとって無理のない方法で、飼い主さんと一緒に続けていけるケアを見つけていきましょう。
かゆみや皮膚の赤みなど、キャバリアの皮膚トラブルでお悩みの飼い主さんは、ぜひ当院へご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
松井山手動物病院
犬のかゆみ、原因はストレスかも?|犬のストレスによるかゆみについて解説
2025年10月14日カテゴリ|コラム
犬のかゆみ、原因はストレスかも?|犬のストレスによるかゆみについて解説
犬のかゆみの原因のひとつにストレスがあるということをご存知ですか?
犬の皮膚のかゆみについてお悩みのあるご家族は非常に多いです。
愛犬がかゆみに耐えている様子や、かゆみにより皮膚の状態が悪くなっていく様子を見るのはご家族にとっては悲しいことですよね。
今回は、犬のストレスによるかゆみについて解説します。
ぜひ最後まで読んでいただき、愛犬の皮膚の健康だけでなく、生活の質の改善を目指しましょう。
犬のストレスによるかゆみの特徴
犬がストレス等により過剰に同じ部位をなめることで発症する皮膚炎を、舐性皮膚炎と言います。
舐性皮膚炎というのは、漢字の通り「なめる」ことにより発症する皮膚炎です。
犬はストレスを感じると、様々な異常行動が出ることがあります。
その異常行動のなかに「皮膚の同じ部位をなめ続ける」というものがあります。
しつこく舐め続けることで、その部分の被毛が薄くなり、次第に皮膚がえぐれていくことでできた皮膚炎が舐性皮膚炎です。
舐性皮膚炎になってしまうと、かゆみや痛みを伴うようになるためさらに皮膚をなめるようになるという悪循環に陥ってしまいます。
これが犬のストレスによるかゆみの正体です。
犬の舐性皮膚炎は、
- 足先の肉球と反対側の皮膚から発症する
- 舐める行動にきっかけやパターンがある
- 単一の病変である
ことが多いというのが特徴の皮膚炎です。
舐性皮膚炎は軽度であれば被毛が薄くなったり、皮膚が赤くなります。
重症になってくると、指の間の皮膚がズルむけて赤くじゅくじゅくしたり、皮膚の状態が悪くなることで感染症を併発して膿が出たりすることもあります。
舐性皮膚炎は5歳以上の雄犬での発症が多く、ジャーマン・シェパードやドーベルマンなどの大型犬が好発犬種です。
どうしてストレスがかゆみの原因だとわかるの?
犬のかゆみの原因が、ストレスであることを証明するのは非常に困難です。
犬は言葉を話しませんし、ストレスの検査も現段階では信憑性のあるものが確立されていません。
かゆみの原因にストレスが疑われる場合に、最も重要になるのがご家族による観察です。
観察していただきたいポイントとしては
- いつからその部位を舐めるようになったのか
- 何かきっかけがあるのか
- どのようなときに舐めているか
などがあります。
このような情報の中で、皮膚をなめる行動がストレスがかかっているときに集中していたり、ストレスとなる事象がきっかけとなっていることが多ければ、ストレスによるかゆみの可能性が疑われます。
ストレスによる舐性皮膚炎の好発部位である足先は、皮膚に異物が入り込んで発症する皮膚炎やアレルギー性皮膚炎の好発部位です。
異物による皮膚炎やアレルギー性皮膚炎でもかゆみの症状が出るため、皮膚の検査や試験的な治療等も診断に重要な情報となります。
ストレスが原因である場合は、治療が他の病気と大きく異なるため、診断が非常に重要です。
原因がストレスの場合、治療法ってあるの?
ストレスが原因のかゆみで、皮膚の状態がどんどん悪化してしまうような状況は飼い主様としてはなんとか早くぬけだしたいですよね。
犬の場合、「舐めるのをやめなさい」と注意しても、一時的にやめても完全になくなることはほとんどありません。
犬のストレスによるかゆみはどのような治療法があるのでしょうか。
ストレス要因の除去
どのような病気でも原因にストレスが疑われる場合には、根本的な治療はストレスとなり得る要因の除去です。
皮膚をなめる行動が始まったきっかけやパターンがはっきりしている場合には、その状況を変えることが最も効果的です。
犬のストレス要因としては、
- 分離不安症
- 引越しなどの環境変化
- 同居の家族や犬の増減
- 生活リズムの変化
- 騒音やにおい
などが一般的です。
このような要因の中で当てはまるものがあれば、環境改善などの対策を行うことでなめる行動を減らすことができるかもしれません。
精神安定剤による治療
犬のストレス要因を除去することができない場合や、それだけでは解決しない場合は、行動改善薬として不安を落ち着かせるサプリメントや人間の抗うつ剤を使うこともあります。
行動改善薬は常用することも可能ですが、一時的な投薬でも効果が期待できるものもあります。
原因としてストレスが考えられるけど、なめる行動をするのが一時的で、かつどのような状況で犬がストレスを感じるかわかっている場合などですね。
例えば、騒音に敏感な犬の場合は近所でお祭りや工事がある日に、旅行や引っ越しなどで環境変化がある場合はその前後に、投薬すると効果的な場合もあります。
併発疾患の治療
かゆみがある場合、皮膚の状態によっては感染症を併発している場合も多いです。
皮膚の状態が悪くなることで、皮膚のバリア機能が低下するため、感染症を続発してしまうことが珍しくありません。
その場合は、まずは感染症の治療を行う必要があります。
ストレス要因の除去や投薬治療の効果の判定のためにも、続発している感染症の治療を徹底的に行うことが重要です。
物理的な皮膚の保護
ストレスによるかゆみで、一度皮膚の状態が悪くなってしまった場合には、皮膚の物理的な保護も有用です。
エリザベスカラーや包帯などが装着可能な場合は、犬がこれ以上なめられなくする効果があります。
物理的な保護は様々な選択肢がありますが、犬の性格や皮膚の状態によっては逆効果になることもあるので、獣医師に必ず相談しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はストレスが原因の犬のかゆみについて解説しました。
ストレスが原因の病気は、ご相談いただく犬やご家族によって、ワンパターンの治療では改善しないため、診断や治療がとても難しい分野のひとつです。
診断にも治療にも、しっかりご家族と相談し協力していただくことが非常に重要になります。
当院は皮膚科に力を入れており、このような難しい皮膚炎の治療についてもご家族と二人三脚で行なっていきます。
犬のなかなか改善しない皮膚炎やストレスによる皮膚炎の改善策でお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
松井山手動物病院
犬のかさぶたは放置しても大丈夫?|かさぶたは病気のサインかも
2025年10月07日カテゴリ|コラム
犬のかさぶたは放置しても大丈夫?|かさぶたは病気のサインかも
「犬のかさぶたがなかなか治らない」
「ただのかさぶただと思ったのに範囲が広がってきた」
このような犬のかさぶたに関するトラブルは意外と多いです。
今回の記事ではかさぶたが関連する皮膚疾患について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、皮膚トラブルに気づくヒントにしてみてください。
犬のかさぶたの正体とは
かさぶたとは傷などがきっかけで皮膚から滲んだ血液などが皮膚の表面で固まったものです。
かさぶたは皮膚が傷ついたあとに修復する過程で見られる正常な反応です。
かさぶたが作られることで外部からの細菌や異物の侵入を防ぎ、皮膚を保護する役割があります。
かさぶたの下では新しい皮膚が作られ、かさぶたが自然とはがれることで傷が治癒します。
犬のかさぶたは放置していいの?
単純なかすり傷などの後にできるかさぶたは、通常の傷であれば自然に剥がれ落ちるまで放置しても問題ありません。
しかし、同じ場所に何度もかさぶたができたり、かさぶたが長期間治らない場合は背景に皮膚疾患が関連していることもあります。
かさぶたが繰り返す場合やかさぶたが治らない場合は、放置せずに動物病院を受診しましょう。
なぜかさぶたができるの?
外傷だけでなくさまざまな皮膚疾患がかさぶたの原因になります。
それぞれの原因について詳しくみていきましょう。
外傷
皮膚に傷ができると一時的に出血が起こり、止血の反応としてかさぶたができます。
特に犬の場合は毛に覆われているため、傷が毛の下に隠れてよく見えないこともあるため注意が必要です。
膿皮症やマラセチア性皮膚炎
皮膚への感染症が原因でかゆみが生じ、かさぶたができることがあります。
皮膚感染症の代表的な原因は細菌であるブドウ球菌や真菌であるマラセチアです。
ブドウ球菌などの細菌性の皮膚炎を膿皮症、マラセチアによる皮膚炎をマラセチア性皮膚炎と言います。
皮膚の感染にともなう強いかゆみがあると犬は皮膚をひっかいたり、舐めたりしてしまいます。
犬自身が皮膚を傷つけてしまうことでその部分でかさぶたができることが多いです。
これにより、膿や体液がにじみ、乾燥することでかさぶたが形成されます。
アレルギー性皮膚炎
アレルギーによるかゆみもかさぶたの要因の1つです。
犬のアレルギー性皮膚炎はおもに
- 食物アレルギー
- ノミアレルギー
- 犬アトピー性皮膚炎
が挙げられます。
アレルギーとは体を守るために働く免疫が過剰に反応することで皮膚のかゆみや炎症が生じる病気です。
アトピー性皮膚炎とは花粉やハウスダストなどの環境中のアレルゲンに反応するアレルギーを指します。
これらのアレルギーが原因で全身にかゆみが生じ、ひっかくことで、皮膚に小さな傷やかさぶたが生じます。
腫瘍
皮膚の腫瘍もかさぶたの原因です。
皮膚表面にできる腫瘍の中には表面が傷つくことで出血し、かさぶたが形成されることもあります。
腫瘍によるかさぶたは一見、単なるかすり傷と区別がつかないこともあるため、注意が必要です。
かさぶたができた時の治療は?
かさぶたができた時はその原因に応じて適切な治療を行います。
以下では代表的な疾患の治療について紹介します。
外傷によるかさぶたの治療
外傷によるかさぶたの治療では患部を清潔に保ち、感染のコントロールを行います。
小さな傷で感染や炎症が無ければ自然治癒を待つことも多いです。
感染や化膿があれば、
- 傷の洗浄
- 抗生剤の投与
- 排膿処置
- 縫合処置
などが状況に応じて必要になります。
かさぶたの範囲が狭く見えても、皮膚の下の感染や炎症が広がっている可能性があるため、見た目だけで判断せず、慎重な評価が必要です。
細菌や真菌の感染によるかさぶたの治療
皮膚の感染症が原因でかさぶたができている場合は原因に応じて
- 抗生剤
- 抗真菌薬
- かゆみ止め
などを用いた薬による治療を行います。
さらに治療効果を高め、再発を防ぐためにスキンケアも重要です。
保湿や洗浄を日常的に行うことで皮膚バリア機能を保ち、皮膚環境を整えることができます。
アレルギーによるかさぶたの治療
アレルギーの治療は原因となるアレルゲンの除去やかゆみの抑制です。
食物アレルギーの場合はドックフードやおやつをアレルギー対応のものに変更します。
花粉やハウスダストなどのアレルギーの場合は散歩コースの変更や部屋の掃除が必要になることもあります。
しかし、アレルゲンの完全除去は難しいため、かゆみ止めの薬を服用することでかゆみを軽減することが多いです。
まとめ
かさぶたは軽い皮膚トラブルに思われがちですが、背景に皮膚疾患が隠れていることもあります。
皮膚疾患が背景にある場合はかゆみによってさらに皮膚を傷つけてしまうこともあるため、早期の治療が重要です。
当院では皮膚疾患の治療を幅広く行っております。
今回の記事の内容に心当たりのある方は、ぜひ当院までご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
松井山手動物病院
ポメラニアンの脱毛について|ふわふわの毛並みに異変を感じたら病気のサイン?
2025年09月28日カテゴリ|コラム
ポメラニアンの脱毛について|ふわふわの毛並みに異変を感じたら病気のサイン?
「最近ポメラニアンの毛が薄くなってきた」
「お尻や腰のあたりだけ毛が抜けて地肌が見える」
「全体的に毛量が減って、ふわふわ感がなくなった気がする」
そんな症状に気づいた飼い主様はいらっしゃいませんか?
ポメラニアンはふわふわの豊かな被毛が特徴の犬種ですが、脱毛が起こることも珍しくありません。
原因や対応を知っておくことで、早期に対処することができます。
今回は、ポメラニアンに多い脱毛の原因や治療法、注意点について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、ポメラニアンの脱毛に対する知見を深めてください。
ポメラニアンの脱毛でよくある病気とは?
ポメラニアンの飼い主様は「ポメはげ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
その名の通りポメラニアンがはげ、つまり脱毛してしまう状態です。
ポメラニアンに脱毛が見られる場合には、いくつか考えられる病気があります。
毛周期停止(ポメラニアン脱毛症)
ポメラニアンに特に多いとされているのが、「毛周期停止」と呼ばれる状態です。
「脱毛症X」「アロペシアX」とも呼ばれ、成犬になってから被毛の一部が薄くなり、その後に全身へ広がっていくのが特徴です。
Xという名前がついている通り、原因は明らかになっていません。
ホルモンバランスや毛周期の乱れが関係しているという説もありますが、はっきりとしたことはわかっていない病気です。
毛周期停止にかゆみや赤みといった皮膚炎症状はなく、見た目以外の不調は現れにくい傾向にあります。
しかし、ポメラニアンの美しい被毛が失われることで飼い主様にとって大きな悩みとなります。
内分泌疾患(ホルモンの病気)
ポメラニアンの脱毛の原因にはホルモンの病気が隠れていることがあります。
- 甲状腺機能低下症
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
といった病気が原因になります。
これらの病気では、脱毛とともに
- 元気がない
- 太りやすい
- 皮膚が乾燥する
などの症状を伴うことが多いのが特徴です。
アレルギーや皮膚炎
ポメラニアンの脱毛に加えてかゆみを伴う場合は、
- 食物アレルギー
- マラセチア性皮膚炎
- ノミアレルギー
なども考慮する必要があります。
脱毛の周囲に赤みやフケ、かさぶたがある場合は、炎症性の皮膚疾患が疑われます。
ストレスや栄養の問題
ストレスや偏った栄養バランスも被毛の健康に影響します。
過度なシャンプーや急な環境の変化が引き金になることもあるため注意が必要です。
脱毛の診断には何をするの?
ポメラニアンの脱毛の原因は多岐にわたります。
動物病院では原因を特定するために次のような検査を行います。
- 皮膚の状態の観察(フケ、赤み、炎症の有無など)
- 皮膚検査(マラセチア、細菌、ダニの有無)
- 血液検査(ホルモンの病気のチェック)
- ホルモン刺激試験(必要に応じて)
- 経過観察や画像記録(脱毛の進行具合を確認)
病歴や生活環境の聞き取りも重要な診断材料になるため、診察で詳しく話せるようにメモなどをとっていくと良いでしょう。
治療方法は原因によって異なります
脱毛の原因によって治療は大きく変わります。
毛周期停止(アロペシアX)
毛周期停止が原因の場合には、内服薬やホルモンバランスの調整剤、去勢手術などが行われることがあります。
ホルモンバランスの調整剤は副作用が出ることもあるため、注意が必要です。
副作用の少ない治療方法としてサプリメントによる治療もあります。
サプリメントは効果に個体差があり、治療に時間がかかることがありますが、比較的安全に治療を続けることが可能です。
どの治療方法を選択するかはよく獣医師と相談しましょう。
治療だけではなく、ご家庭でのケアとして皮膚の保湿や刺激を避けるスキンケアも効果があることがあります。
内分泌疾患
内分泌疾患が原因の場合には、甲状腺ホルモン剤や副腎機能を抑える薬の投与が必要になります。
治療には継続的な内服と定期的な血液検査が重要です。
皮膚炎やアレルギー
原因に応じた抗菌薬や抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、食事療法などを組み合わせて治療を行います。
栄養・ストレスが原因の場合
栄養やストレスが原因の場合は、フードの見直しや生活環境の改善を行います。
サプリメントで皮膚の健康をサポートするケースもあります。
ご家庭でできるケアと注意点
ポメラニアンが脱毛している時に、ご家庭でできることはあるのでしょうか?
例えば、
- 日常的に被毛の状態を観察する
- ブラッシングで毛玉や皮膚トラブルを予防する
- シャンプーのしすぎに注意し、低刺激の製品を選ぶ
- 異常に気づいたら早めに動物病院を受診する
といったケアが重要になります。
特に毛周期停止は長期間にわたって経過をみることが多いです。
脱毛がある場合には、見た目だけで自己判断せず、専門的な評価を受けることが重要です。
まとめ
ポメラニアンの脱毛は、見た目の問題だけでなく、内科的な病気のサインであることもあります。
毛が薄くなった、毛並みが悪くなったなどの変化を感じたら、早めに動物病院で相談しましょう。
当院では、皮膚の専門的な診療を行っており、ポメラニアン特有の脱毛にも対応しています。
どんな小さな変化でも、気になることがあればお気軽にご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
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