犬の心臓病治療で使う強心剤とは?薬の効果や使用される場面をわかりやすく解説
2025年11月28日カテゴリ|コラム
犬の心臓病治療で使う強心剤とは?薬の効果や使用される場面をわかりやすく解説
愛犬に心臓病が見つかり、獣医師から「強心剤を使いましょう」と言われたら、愛犬の状態がどれほど悪いのかと不安になる飼い主様は多いのではないでしょうか。
強心剤がどんな薬で、どんなときに使われるのかを知っておくと、治療にも安心して向き合いやすくなります。
この記事では、犬に使われる代表的な強心剤「ピモベンダン」を中心に、強心剤の効果や副作用、服用させるときの注意点などをわかりやすく解説します。
強心剤への理解が深まることで治療に対する不安を少しでも軽くできたら幸いです。
強心剤のはたらき
強心剤は心臓の働きが低下して血液をうまく全身に送り出せなくなったときに、心臓のポンプ機能をサポートする薬です。
強心剤は心臓の収縮力を高めるはたらきによって心臓の負担を減らし、全身への血流を保つ効果が期待されます。
犬でよく使う強心剤「ピモベンダン」
犬の心臓病の治療では、「ピモベンダン」という強心剤が最も広く使われています。
ピモベンダンには心臓の収縮力を高めると同時に血管を広げる作用があり、心臓の負担を軽減する効果が期待できます。
また、飲み薬なので飼い主様でも与えやすく、副作用も比較的少ないことから、長期間の服用にも適した薬です。
まれに食欲不振や嘔吐、下痢といった副作用が出ることがあります。
もし気になる症状が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。
僧帽弁閉鎖不全症におけるピモベンダンの使用
僧帽弁閉鎖不全症の治療にもピモベンダンが使われています。
僧帽弁閉鎖不全症は弁がうまく閉じず血液が逆流する病気です。
血液の逆流があると心臓に余計な負担がかかるため、徐々に心臓が大きくなっていきます。
発症するのは中高齢の犬に多く、初期のうちは無症状のことも多いですが、進行すると咳や呼吸困難などが現れます。
以前までの僧帽弁閉鎖不全症の治療では、症状が現れてからピモベンダンを使用するのが一般的でした。
しかし最近の研究で、ピモベンダンを初期の段階で投与すると症状が出るのを遅らせることができ、結果的に寿命も延びることが示されました。
現在では、エコーやレントゲンで心臓の拡大が確認されれば、症状がなくてもピモベンダンが積極的に投与されるようになっています。
ピモベンダン以外の強心剤が使用されるケース
心臓病の種類や症状の重さによっては、ピモベンダン以外の強心剤が使われることもあります。
ジゴキシンを使うとき
心房細動などの不整脈を伴う病気では、心拍数を落ち着かせて心臓への負担を軽くする作用のあるジゴキシンという飲み薬が使われることがあります。
ジゴキシンは長期的に使うこともでき、効果が強い一方で、中毒を起こしやすいというデメリットがあります。
薬の使い始めは特に、食欲不振や嘔吐などの副作用に注意しましょう。
強心剤の注射薬を使うとき
今まで紹介してきた飲み薬のほかに、ドブタミンという注射や点滴で投与する強心剤もあります。
最近ではピモベンダンの注射薬も登場しました。
これらの注射薬は、急性の心不全や入院管理が必要な重症例などで状況に応じて一時的に使われます。
状態が安定したあとは、内服薬に切り替えて治療を継続するのが一般的です。
強心剤を自宅で飲ませるときの注意点
強心剤は、毎日決まった時間に正しい量を与えることで、安定した効果が得られます。
空腹時や食後など、飲ませる時間の指示がある場合は、必ず守りましょう。
また、症状が落ち着いたように見えても、自己判断で薬をやめたり量を減らしたりするのは危険です。
強心剤は心臓病を治す薬ではありません。
「元気そうだから」「咳が出なくなったから」といった理由で薬の量を変えてしまうと、状態が悪化することもあります。
処方された薬は指示に従って飲ませることを心がけましょう。
まとめ
強心剤は心臓の動きをサポートし、犬の生活の質を保つうえで欠かせない薬です。
中でもピモベンダンは、安全性と効果のバランスが良く、長期的な治療にも使われる代表的な強心剤です。
最近の研究では、僧帽弁閉鎖不全症の犬に早期からピモベンダンを投与すると予後の改善が期待できると報告されています。
ただし、強心剤はあくまで心臓の負担を軽くする薬であり、病気そのものを治すものではありません。
安定した効果を得るためには、処方された薬は自己判断で減らしたり止めたりせず、獣医師の指示を守って与えることが大切です。
当院は心臓病の診察に力を入れており、多くの症例を経験しています。
治療内容や薬に関して心配なことがあれば、どうぞお気軽に獣医師にご相談下さい。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
松井山手動物病院
犬の僧帽弁閉鎖不全症で見られる咳とは?他の症状や対処法を解説
2025年11月21日カテゴリ|コラム
犬の僧帽弁閉鎖不全症で見られる咳とは?他の症状や対処法を解説
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、高齢の小型犬に多く見られる病気です。
心臓の「僧帽弁」という弁がぴたりと閉じなくなり血液が逆流することで、咳などの症状が現れる病気です。
「最近、愛犬が咳をする頻度が増えてきた」
「動物病院で心雑音があると言われた」
もしかしたらそれは僧帽弁閉鎖不全症かもしれません。
今回はこの僧帽弁閉鎖不全症の咳について詳しく解説します。
最後までお読みいただき、僧帽弁閉鎖不全症と咳について理解を深めていきましょう。
犬の僧帽弁閉鎖不全症で見られる咳の特徴
僧帽弁閉鎖不全症の代表的な症状のひとつが咳です。
この咳は、単なる気管の刺激によるものとは異なり、心臓が大きくなり気管を圧迫することで起こります。
具体的な咳の特徴として、
- 寝起きや興奮したときに咳をする
- 夜間や早朝に咳が出る
- 運動後に咳が増える
などがあります。
ただし、僧帽弁閉鎖不全症の犬は同時に呼吸器の病気を併発することが多いとされています。
咳の頻度やタイミングで、僧帽弁閉鎖不全症とそのほかの病気を見分けることは難しいです。
「たかが咳だから」と思って様子を見ていると、実は僧帽弁閉鎖不全症のような重大な病気が隠れていることもあります。
犬の僧帽弁閉鎖不全症の症状
犬の僧帽弁閉鎖不全症では、咳以外にもさまざまな症状が見られます。
具体的な例として、
- 疲れやすい様子ある(運動不耐)
- 呼吸が早くなる(呼吸促拍)
- 倒れることがある(失神)
- お腹が膨らむ(腹水)
- 舌の色が紫色になる(チアノーゼ)
- 血を吐く(喀血)
などが見られます。
咳以外の症状が見られた場合も、僧帽弁閉鎖不全症を疑う必要があるでしょう。
犬の僧帽弁閉鎖不全症のステージ分類
僧帽弁閉鎖不全症は、アメリカ獣医内科学会(ACVIM)の基準で以下のようなステージに分けられます。
| ステージA | 心臓に構造的な異常(血液の逆流など)は認めないが、犬種的に心疾患のリスクがある。 |
| ステージB1 | 心臓に構造的な異常(血液の逆流など)があるものの、症状はなく、心拡大もない。 |
| ステージB2 | 心臓に構造的な異常(血液の逆流など)があり、症状はないものの、心拡大がある。 |
| ステージC | 現在あるいは過去に心不全の兆候(肺水腫など)の既往があり、標準的な治療に十分反応する。 |
| ステージD | 現在あるいは過去に心不全の兆候(肺水腫など)の既往があり、標準的な治療に十分反応しない。 |
咳が頻繁に出るようになるのはステージB2以降のことが多いです。
ステージB2では、ガイドライン上では投薬による治療が推奨されています。
犬の僧帽弁閉鎖不全症の検査
僧帽弁閉鎖不全症は、以下のようないくつかの検査を組み合わせて診断します。
聴診
聴診器で心雑音の有無や強さを確認します。
レントゲン検査
心臓が大きくなっていないか、肺が白くなっていないかなどを確認します。
心エコー検査
僧帽弁での血液の逆流の有無や心臓の大きさを測定します。
血液検査
心臓以外の臓器にも異常がないかチェックします。
血圧検査
血圧が高かったり低かったりしないか確認します。
僧帽弁閉鎖不全症の治療法
犬の僧帽弁閉鎖不全症の治療もACVIMからガイドラインが出ています。
治療の基本は内科的な投薬治療で、
- 血管拡張薬
- 利尿薬
- 強心薬
などが使用されます。
僧帽弁閉鎖不全症の治療は投薬治療の他に、食事療法や手術による外科的な治療も選択肢です。
手術には専門的な設備が必要なので、心臓専門の動物病院に相談しましょう。
犬の僧帽弁閉鎖不全症で起こる咳の対処法
犬の僧帽弁閉鎖不全症で起こる咳は、治療とともに減っていくことが多いです。
治療が順調に進んでいない場合は、咳の頻度が増えたり、湿った咳をしたりするようになります。
その際は肺水腫の可能性があるので、速やかに動物病院に相談をしましょう。
僧帽弁閉鎖不全症と同時に呼吸器のトラブルを併発している場合は、僧帽弁閉鎖不全症の薬の他に、咳止めや気管支拡張薬を併用することがあります。
僧帽弁閉鎖不全症の治療だけで咳が減らない場合は、追加で薬が必要なのか相談してみましょう。
まとめ
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、早期発見・早期治療がとても重要です。
僧帽弁閉鎖不全症は適切な薬の投与や生活管理により、長く穏やかに過ごすことが可能です。
当院では僧帽弁閉鎖不全症の診察に力を入れています。
軽い咳でも放置せず、いつでもご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
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犬が「カハッ」と咳をする原因とは?考えられる病気や治療を解説
2025年11月14日カテゴリ|コラム
犬が「カハッ」と咳をする原因とは?考えられる病気や治療を解説
犬はさまざまな原因で咳をします。
「カハッ」「ケホッ」という乾いた咳をするもあれば、「ゴホゴホ」という湿った咳をすることもあります。
「風邪かな?様子を見れば治りそう。」
「喉に何か詰まったのかな?」
そのように軽く考えて、様子を見ていませんか?
実はその咳には、命に関わる病気が隠れている可能性があります。
この記事では、犬の咳の主な原因や病気の種類、診断、治療法について詳しく解説します。
最後までお読みいただき、犬の咳について理解を深めていきましょう。
犬の咳の主な原因
犬が咳をする原因は大きく分けて「呼吸器の病気」と「心臓の病気」によるものがあります。
呼吸器の病気としては、
- 気管虚脱
- ケンネルコフ
- 肺炎
- 肺腫瘍
- 慢性気管支炎
などがあり、心臓の病気としては、
- 僧帽弁閉鎖不全症
- 肺高血圧症
- フィラリア症
などがあります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
気管虚脱
気管虚脱とは、本来円柱の気管が加齢とともに扁平化し、空気の通り道が狭くなる病気です。
この病気は、チワワやポメラニアン、ヨークシャーテリアなどの小型犬に多く見られます。
気管虚脱が進行すると「ガーガー」という特徴的な咳を起こします。
そのまま呼吸困難に陥ることもあるため、早めの診察が必要です。
ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)
ケンネルコフは犬の咳の原因として代表的な感染症です。
感染の原因となる病原体は、
- 犬パラインフルエンザウイルス(CPIV)
- 犬アデノウイルス2型(CAV-2)
- 犬コロナウイルス(CCoV)
- ボルデテラ・ブルテリ(Bordetella bronchiseptica)
- マイコプラズマ属(Mycoplasma spp.)
などがあります。
乾いた咳が数週間続くことがあり、複数の犬が集まる環境で感染することが多いです。
肺炎
肺炎は、細菌やウイルスなどによって肺に炎症が起こる病気です。
湿った咳や発熱、食欲低下を伴うことがあります。
嘔吐を繰り返すことで、吐物による誤嚥性肺炎も多く起こります。
肺腫瘍
肺腫瘍は高齢犬に多く見られる原因の一つです。
肺腺癌や組織球性肉腫など、悪性の腫瘍が多いと言われています。
初期は無症状のこともあり、咳が現れる時にはすでに進行していることもあるので、注意が必要です。
慢性気管支炎
慢性気管支炎は、アレルギーや環境中の物質が原因となり、慢性的に気管支炎が起きる病気です。
投薬だけではなく、部屋の湿度や温度を適切に管理するなど対処が必要な病気です。
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は中高齢の小型犬に多く見られる病気です。
心臓には4つの部屋がありますが、そのうちの左心房と左心室の間にあるのが僧帽弁です。
僧帽弁閉鎖不全症では、僧帽弁がぴたりと閉まらなくなり血液が逆流します。
これにより心臓が大きくなり、気管を圧迫することで咳が出ます。
肺高血圧症
肺高血圧症は、何らかの原因で肺動脈の血圧が上がることで、咳や呼吸困難が現れる病気です。
完治が難しく、専門的な検査や治療が必要な病気になります。
フィラリア症
フィラリア症は、蚊を介して感染する寄生虫(犬糸状虫:Dirofilaria immitis)が心臓や肺動脈に寄生し、咳や運動不耐を引き起こす病気です。
現在はフィラリア予防が普及しこの病気の発生も少なくなりましたが、一度感染すると長期間の治療が必要になります。
犬の咳以外に注意すべき症状
咳だけでなく、次の症状が見られる場合は早急に診察が必要です。
- 呼吸が速い
- 呼吸が苦しそう
- 舌や歯茎が紫色になる(チアノーゼ)
- 食欲がない
- 元気がなくぐったりしている
- 鼻水が出ている
- 発熱している
これらの症状がある場合は、病気がすでに進行している可能性があります。
犬の咳の治療方法
犬の咳の治療は、その原因により様々です。
それぞれの原因に対する治療法を解説します。
感染症(ケンネルコフ、肺炎など)
感染症の治療として、抗生剤や抗ウイルス薬を使用します。
気管虚脱
気管虚脱は、鎮咳薬などの内科治療のほか、気管を広げる手術を行う場合もあります。
心臓病(僧帽弁閉鎖不全症、肺高血圧症など)
心臓の病気は、心臓の状態に合わせた投薬(血管拡張薬、利尿薬、強心薬など)による治療が中心です。
肺腫瘍
犬の肺腫瘍は悪性のものが多いため、手術による治療が中心となります。
まとめ
犬の咳にはさまざまな原因があり、その中には命に関わる病気も含まれます。
早期に原因を見つけ治療をしてあげることで、症状の悪化を防ぐことができます。
当院では、心臓病の診察に力を入れています。
軽い咳でも様子を見ずに、まずは気軽にご相談ください。
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犬の僧帽弁閉鎖不全症と利尿剤|命を守る大切な薬
2025年11月07日カテゴリ|コラム
犬の僧帽弁閉鎖不全症と利尿剤|命を守る大切な薬
犬の心臓病の中でもっとも多いのが「僧帽弁閉鎖不全症」です。
僧帽弁閉鎖不全症が進行すると心臓の働きが弱り、肺や体に水分がたまってしまいます。
たまった水分は肺水腫や呼吸困難など危険な状態を引き起こします。
そのような状態を改善するために使われる薬が利尿剤です。
利尿剤は体にたまった余分な水分を外に排出し、呼吸を楽にしてくれます。
しかし、命を守る効果がある一方、服用にあたっては注意も必要な薬です。
この記事では、利尿剤の働きや服用時の注意点などについてわかりやすくご紹介します。
飼い主様が安心して僧帽弁閉鎖不全症の治療に向き合える助けとなれば幸いです。
僧帽弁閉鎖不全症とは?
僧帽弁閉鎖不全症とは、その名のとおり心臓の僧帽弁がきちんと閉じなくなってしまう病気です。
本来、肺から送られてきた血液は左心房から左心室へ流れ、そこから全身へ送り出されます。
僧帽弁の役割は、左心室から左心房への血液の逆流を防ぐ「扉」です。
加齢などの影響で僧帽弁がしっかり閉じなくなると、血液が左心房へ逆流します。
逆流は心臓や肺にとって大きな負担です。
負担がかかった状態が続くと心臓の働きは少しずつ弱まり、やがて余分な水分が体にたまってしまいます。
水分が肺にたまると「肺水腫」と呼ばれ、命に関わる状態になることもあります。
僧帽弁閉鎖不全症は初期のうちは症状が目立ちません。
ただし、進行すると以下のような変化が見られます。
- 咳が増える
- 呼吸が苦しそうになる
- 元気がなくなる
- 食欲が落ちる
利尿剤の働きと種類
利尿剤は、腎臓に作用して体の中にたまった余分な水分を尿として外に出す薬です。
心臓の働きが弱くなると、血液の循環が滞り、体に水分が溜まりやすくなります。
水分が肺や胸にたまると、咳や呼吸困難といった深刻な症状を引き起こす原因となります。
利尿剤は余分な水分を排出して呼吸を楽にし、心臓への負担を和らげる薬です。
まさに「命を守る薬」のひとつです。
利尿剤にはいくつか種類があり、症状の重さや体の状態に応じて使い分けられます。
ループ利尿剤
最もよく使われる利尿剤です。
速やかに強い効果を発揮して余分な水分を排出します。
肺水腫など急を要する症状にも使われることが多いです。
サイアザイド(チアジド)系利尿剤
効果はループ利尿剤より穏やかですが、長く作用するのが特徴です。
ループ利尿剤だけで十分な効果が得られない場合に併用されます。
抗アルドステロン薬
ホルモンの働きを抑えて体に水分や塩分がたまるのを防ぐ薬です。
心臓への負担を減らすほか、腎臓を守る効果も期待できます。
利尿剤服用中の注意点
利尿剤は僧帽弁閉鎖不全症の治療で欠かせないとても大切な薬です。
ただし、服用にあたっては「脱水」に注意する必要があります。
利尿剤は体内の余分な水分を尿として排出するため、尿の量が増えます。
しかし、水分の摂取量よりも排出量が多くなると、体内の水分が不足して「脱水」を起こすおそれがあります。
脱水が進むと血液の流れが悪くなり、腎臓への負担となります。
「水分がたまる病気だから」「尿の量が増えて心配だから」といって飲水を制限することはおすすめできません。
いつでも新鮮なお水が飲めるようにしておくことが、愛犬の体を守る上でとても重要です。
家庭でできる体調チェック
利尿剤の服用中は、定期的なチェックがとても大切です。
動物病院では血液検査や尿検査で体の状態を確認しますが、ご家庭での観察も診断や治療に欠かせない情報になります。
普段の様子をしっかり記録し、診察のときにメモを持参すると、より適切な治療につながります。
ご家庭で観察してほしいポイントは次のとおりです。
- 飲水量:急な増減がないか
- 排尿の回数や量:回数や量の変化がないか
- 体重:週1回測定し、増減がないか
- 安静時の呼吸数:寝ているときに胸の上下を1分間数え、多くなっていないか
- 咳:夜間や明け方に増えていないか
- 元気や食欲:普段の様子と比べて落ちていないか
これらの変化は、病気の進行や利尿剤の効き具合を判断する大切な手がかりです。
飼い主様の観察が、愛犬の命を守る大きな助けになります。
まとめ
僧帽弁閉鎖不全症は、進行すると肺や胸に水がたまり、呼吸困難を引き起こす危険があります。
治療に欠かせないのが利尿剤です。
利尿剤は体にたまった余分な水分を排出し、呼吸を楽にして心臓への負担を減らす「命を守る薬」です。
ただし、利尿剤には脱水とそれに伴う腎臓への負担といったリスクもあります。
脱水を防ぐため、いつでも新鮮な水が飲めるようにしてあげましょう。
定期的な血液検査だけでなく、ご家庭での観察も治療の重要な一部です。
日々の小さな変化を記録することが、病気の進行や薬の効き方を把握する大きな手がかりになります。
毎日の観察と定期検査を続けることが、愛犬の命を守る最も確実な方法です。
少しでも不安や疑問があれば、遠慮なく獣医師に相談してください。
愛犬の健康を守るために、私たちと一緒にできることを考えていきましょう。
トイプードルでよくみられる皮膚病について|ご家庭でもできる対策とは?
2025年10月28日カテゴリ|コラム
トイプードルでよくみられる皮膚病について|ご家庭でもできる対策とは?
トイプードルは、ふわふわとした毛とかわいらしいお顔から、とても人気の犬種です。
人懐っこくしつけもしやすいため、初めて犬を飼う方でも飼いやすいのも魅力ですね。
しかし、トイプードルにはかかりやすい皮膚病があることをご存知でしょうか?
今回は、トイプードルでよくみられる皮膚病について、ご家庭でできる対策とともにご紹介します。
トイプードルを飼っている方はぜひ最後までお読みいただき、愛犬の皮膚をケアする際のご参考にしていただければ幸いです。
トイプードルの特徴
トイプードルという犬種はプードルを小型化したものです。
プードルは元々、狩猟の際に水辺のカモを回収する猟犬でした。
上記の役割から、トイプードルも水を弾きやすい皮膚であり、皮脂が多めであるのが特徴です。
トイプードルには毛が抜けづらいという特徴もあります。
通常、犬の毛は
- 成長期
- 退行期
- 休止期
という毛周期をくり返すものです。
しかし、トイプードルはほぼ100%の毛が成長期であるため、毛が抜けずに伸び続けます。
トイプードルに多い皮膚病
トイプードルに多い皮膚病には、以下のようなものがあります。
犬アトピー性皮膚炎
トイプードルでは、遺伝的素因があるために犬アトピー性皮膚炎を起こしやすいと言われています。
犬アトピー性皮膚炎は、
- 環境中のアレルゲンに対するアレルギー反応
- 皮膚のバリア機能の低下
- 皮膚常在菌のバランスの乱れ
などが原因で発症します。
犬アトピー性皮膚炎になると、皮膚が赤くなったり、痒がったりするようになります。
脂漏症
脂漏症は、皮脂分泌が過剰になったり、皮膚のターンオーバーが乱れたりすることで起きます。
脂漏症の症状には、
- 皮膚が脂っぽくベタベタする
- 独特なにおいがする
- 痒みや赤みを伴う
といったものがあります。
皮膚が重なる場所に症状が出やすく、主な発症部位には、
- 脇
- 指の間
- 内股
などが挙げられます。
脂漏症の皮膚は、真菌(カビ)や細菌が増殖しやすく、症状が悪化しやすいため注意が必要です。
膿皮症
膿皮症は、主にブドウ球菌が異常に増殖することで起きる皮膚炎です。
膿皮症の症状には、
- 脱毛する
- 痒みや赤みを伴う
- 湿疹や水疱ができる
- フケがでる
といったものがあります。
ブドウ球菌は犬の健康な皮膚にも存在しますが、
- ジメジメとした環境
- バリア機能が低下している皮膚
では異常に増殖し、膿皮症を起こします。
犬アトピー性皮膚炎や皮脂バランスの崩れた犬では、バリア機能も低下するため、膿皮症を発症しやすいです。
心因性掻痒症
心因性掻痒症とは、ストレスが原因で、
- 皮膚をしつこく舐める
- 皮膚を何度も噛む
- 毛をむしる
といった行動が見られる病気です。
トイプードルは賢く繊細なため、環境の変化や長時間の留守番などからストレスを感じ、発症してしまうことが多いのです。
トイプードルの皮膚病への対策
トイプードルの皮膚病を予防するには、
- 皮脂が過剰にならないようにする
- 皮膚のバリア機能を維持する
- ストレスをできる限り減らす
といった対策が効果的です。
具体的にご家庭でできる対策についてご紹介します。
シャンプー
シャンプーをすることで、皮膚の汚れや過剰な皮脂を取り除くことができます。
皮膚を衛生的に保つためにも、定期的にシャンプーすると良いですね。
シャンプーには、
- 脱脂作用の強いもの
- 保湿に特化したもの
- 抗菌成分を含むもの
など、さまざまな種類があります。
愛犬の皮膚の状態に合わせて、適切なシャンプーを選びましょう。
保湿
健康な皮膚を保つためには、保湿も重要です。
保湿をすることで、皮膚のバリア機能を維持することができ、皮膚病の予防につながります。
定期的なトリミング
トイプードルはトリミングが必要な犬種です。
伸びすぎた毛や毛玉は皮膚を不衛生にしてしまうため、定期的にトリミングを行いましょう。
腸内細菌叢の正常化
腸内細菌叢のバランスが正常に保たれていると、免疫機能が高まり、皮膚のバリア機能を維持することにもつながります。
栄養バランスの良いフードを使用するほか、乳酸菌などプロバイオティクスのサプリメントを活用するのもおすすめです。
ストレスの緩和
犬にストレスがかかっている場合でも、原因を排除するのがなかなか難しいことも多いですよね。
ストレスの緩和のために、
- リラックス成分を含むサプリメントの活用
- 犬との触れ合いの時間を増やす
- 散歩やボール遊びなど運動させる
などを取り入れていただくのがおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
トイプードルは毛や皮膚の特徴から、さまざまな皮膚病を起こしやすい犬種です。
しかし、ご家庭でも皮膚病への対策を取り入れることで、皮膚病を予防したり症状を緩和したりすることができます。
当院は皮膚科にも力を入れております。
トイプードルの皮膚のベタつきや痒みでお悩みの方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. トイプードルはどうして皮膚病になりやすいのですか?
A1. トイプードルは皮脂が多く、被毛が抜けにくいため蒸れやすい体質をしています。
さらにアトピー性皮膚炎や脂漏症を起こしやすい遺伝的背景もあり、皮膚トラブルが起こりやすい犬種といえます。
Q2. 自宅でできるトイプードルの皮膚病対策には何がありますか?
A2. ご家庭では、定期的なシャンプーや保湿、毛玉を防ぐトリミングがとても大切です。
あわせて腸内環境を整える食事管理や、ストレスをためない生活環境づくりも皮膚の健康維持につながります。
Q3. トイプードルのかゆみは様子見でも大丈夫ですか?
A3. 軽いかゆみに見えても、アトピー性皮膚炎や膿皮症などの病気が隠れていることがあります。
かゆみや赤みが続く場合は自己判断で様子を見ず、早めに動物病院で原因を調べてもらうことが大切です。
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