

柴犬でよくみられる皮膚病について解説|犬アトピー性皮膚炎の代表犬種
2025年06月07日カテゴリ|コラム
柴犬でよくみられる皮膚病について解説|犬アトピー性皮膚炎の代表犬種
柴犬は、犬らしいしっかりとした体格をもつ反面、愛らしい表情や仕草でとても人気の犬種ですよね。
実は、皮膚の痒みに悩む柴犬が多いことはご存知でしょうか。
柴犬は特にアレルギーによる痒みを起こしやすい犬種なのです。
今回は柴犬でよくみられる皮膚病と、皮膚病のケアのためにできることについて解説します。
柴犬の特徴
柴犬は、飼い主様への忠誠心が強く勇敢で賢い性格が魅力です。
一方で、警戒心が強くてデリケートな性格であることが多く、他の犬や知らない人を威嚇し、攻撃的になってしまう犬もいます。
匂いや食べ物が変わるなど、環境の変化に敏感なことも多いです。
被毛はダブルコートで、オーバーコート(表面を覆う荒い毛)とアンダーコート(皮膚近くを覆う密な毛)の二重になっています。
季節の変わり目には換毛期となり毛が生え変わるので、大量に毛が抜けます。
柴犬でよくみられる皮膚病
柴犬でよくみられる皮膚病には次のものが挙げられます。
犬アトピー性皮膚炎
柴犬では、遺伝的要因があり犬アトピー性皮膚炎が多く発症するといわれています。
犬アトピー性皮膚炎は、様々な要因により皮膚が炎症を起こして痒みが出る病気です。
アレルギー性の病気といわれていましたが、皮膚のバリア機能の異常や、皮膚の常在細菌の乱れなど、様々な要因が複雑に組み合わさって発症することがわかってきました。
症状は痒みが中心で、舐めたり掻いたりすることで皮膚の赤みや薄毛がみられます。
高温多湿になる夏場に痒みが強くなるなど、季節性がみられることが多いです。
多くは1〜3歳の若齢で発症しますが、高齢で発症することもあり、年々悪化する傾向にあります。
治る病気ではなく、痒みに合わせたケアを行ってなるべく痒みが出ないように治療していきます。
食物アレルギー
食物アレルギーでは、フードの原材料となる小麦や肉類などに対してアレルギー反応を起こします。
どの年齢でも発症しますが、特に1歳まで、または7歳を超えてからの発症が多いです。
痒みの出方が犬アトピー性皮膚炎と非常によく似ており、症状だけでは区別できません。
時間をかけて治療や食事の変更を試していくことで、痒みと食べ物の関連があるかを調べます。
原因となる食材がわかれば、その食材を除いた食事を与えることで痒みを改善できます。
アトピー性皮膚炎と併発することもよくあります。
マラセチア皮膚炎
マラセチアとは、犬の皮膚に生息する真菌の1種です。
常在菌であり健康な皮膚にも存在していますが、何らかのきっかけで過剰に増殖すると皮膚炎を起こします。
マラセチア皮膚炎を起こすと、皮膚の赤みや肥厚、べたつきやフケなどがみられ、痒みを伴います。
犬アトピー性皮膚炎の犬では皮膚のバリア機能が低下しているため発症しやすく、また犬アトピー性皮膚炎の増悪因子ともなります。
膿皮症
膿皮症は、皮膚で細菌が増えて炎症を起こす疾患です。
特に夏場はあらゆる犬で発症しますが、元々アレルギーによる皮膚の痒みがある犬でも発症しやすくなります。
皮膚の赤みやフケがスポット状にみられ、感染の広がりとともに病変が増えていきます。
柴犬の皮膚病への対策
柴犬が痒がっているときには、次のようなケアを行ってあげましょう。
保湿
特に犬アトピー性皮膚炎の犬では、皮膚のバリア機能が低下していることが多いです。
日常的に保湿を行うことで、皮膚のバリア機能が高まり痒みを軽減することができます。
シャンプー
皮膚の悩みに合わせてシャンプー剤を選び、適切な方法で洗ってあげることが大切です。
アレルギーや皮膚の乾燥による痒みでは、保湿機能のあるシャンプー剤を使いましょう。
マラセチア皮膚炎や膿皮症など感染による皮膚炎を繰り返す場合には、抗菌作用のあるシャンプー剤を定期的に使用することで予防ができます。
シャンプーを行うこと自体が皮膚の刺激や乾燥に繋がるため、ぬるま湯でこすりすぎないように洗い、しっかりと流してあげることが大切です。
ブラッシング
換毛期には毛の生え替わりが気になって、痒がるような仕草をする柴犬もいます。
ブラッシングを行ってあげることで、毛の生え替わりの違和感を軽減し、皮膚が蒸れることによる皮膚トラブルを予防してあげることができます。
食事やサプリメント
食物アレルギーの場合には、原因となるタンパクを含まない食事によって痒みを改善できる可能性があります。
皮膚に良い成分が含まれる食事やサプリメントによっても痒みを軽減できることがあります。
まとめ
柴犬は、皮膚に痒みの症状があることが多い犬種です。
痒みがあると、体を掻いたり舐めたり、頭を振ったりなどの様子がみられます。
痒みの原因や皮膚の状況など、その子に合わせた治療やケアが必要です。
皮膚に症状のある柴犬さんはお気軽に当院までご相談ください。
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