

シーズーでよくみられる皮膚病について|皮膚がべたつく理由とは?
2025年06月14日カテゴリ|コラム
シーズーでよくみられる皮膚病について|皮膚がべたつく理由とは?
シーズーは、丸く愛らしいお顔とつやつやの長毛が美しく人気の犬種です。
穏やかで人懐こい性格のため、飼いやすい点も魅力的ですね。
一方で、皮膚のべたつきや脂っぽいにおいにお悩みの飼い主さんも多いでしょう。
今回は、シーズーになぜ皮膚病が多いのか、よくある皮膚病と対策について解説します。
シーズーに皮膚病が多い理由
シーズーは元々、古代のチベット地方で生まれて中国に渡り、中国宮廷で神聖な存在として大切にされていました。
シーズーの出身であるチベット地方は寒く乾燥した気候の地域です。
そのため、体の熱や水分を逃さないように、被毛は密で長く、皮膚は皮脂を多く分泌する性質をもっています。
チベットと比較して高温多湿の日本においては、密な毛により汚れや湿気がたまりやすく、皮脂が過剰になります。
このような生まれつきの皮膚の性質から、シーズーは皮膚病になりやすいのです。
シーズーで多い皮膚病
シーズーは、あらゆる犬種の中でも皮膚病が多い犬種です。
特に多い皮膚病としては次のものがあります。
犬アトピー性皮膚炎
シーズーでは、遺伝的に犬アトピー性皮膚炎が多く発症します。
犬アトピー性皮膚炎は、主にアレルギーにより皮膚に炎症が起きて痒みが生じる病気です。
アレルギーの他にも、皮膚のバリア機能の低下や、常在菌のバランスの変化など、複数の要因が絡み合って痒みの症状が出ます。
1〜3歳頃の若い犬での発症が多いですが、高齢で発症する場合もあり、歳を追うごとに悪化する傾向があります。
治る病気ではなく、痒み止めの薬やスキンケアなどで痒みが出ないように付き合っていきます。
脂漏症
脂漏症とは、ターンオーバー(皮膚の細胞の生まれ変わり)のサイクルが乱れ、皮脂が過剰になりフケやべたつきが出る病気です。
シーズーは元々皮脂の多い犬種であるため、脂漏症になりやすいです。
生まれつきの体質以外にも、犬アトピー性皮膚炎やホルモン性の病気など、他の原因によって脂漏症になる場合もあります。
シーズーの脂漏症では、皮膚のべたつきと独特の脂っぽいにおい、痒みや赤みがみられます。
炎症が慢性化すると皮膚が分厚くなり、黒く色素沈着を起こします。
脇の下や内股、顔のしわなど、擦れる部分に症状が出やすいです。
マラセチアや細菌の増殖を伴いやすく、症状が更に悪化します。
マラセチア皮膚炎
マラセチアとは皮膚にいる真菌の1種です。
常在菌のため健康な犬の皮膚にもいますが、何らかの原因で増えすぎてしまうことで皮膚炎を起こします。
マラセチアは皮脂を好むため、皮脂の多いシーズーではマラセチア皮膚炎になりやすいです。
犬アトピー性皮膚炎の犬もマラセチア皮膚炎になりやすく、またマラセチア皮膚炎によってアトピーの症状も悪くなります。
シーズーの皮膚病への対策
シーズーの皮膚病を予防するためには、皮脂を抑えることが大切です。
犬アトピー性皮膚炎もマラセチア皮膚炎も、皮脂が多いことで悪化しやすくなります。
シーズーの皮膚病のケアとしてできることをご紹介します。
シャンプー
脱脂効果のあるシャンプーを行うことで、脂漏症や皮脂を一因として発症する皮膚病を抑えることができます。
ただし、皮膚のバリア機能が低下している場合には、洗浄力の強いシャンプーにより逆に皮膚の状態が悪化してしまうため注意が必要です。
マラセチアの増殖がある場合には抗真菌剤が配合されたシャンプーを使うことも有効です。
保湿
皮膚がべたべたしているのに保湿も必要なの?と疑問に思われるかもしれません。
皮脂が過剰になる原因として皮膚の乾燥やバリア機能の低下が考えられるため、改善のために保湿をしてあげたほうが良いでしょう。
皮脂を落とすためのシャンプー剤は洗浄力が強いため、洗浄後には必ず保湿剤も併用することをおすすめします。
犬アトピー性皮膚炎のケアとしても保湿は有効です。
食事やサプリメント
栄養バランスが偏ったフードによって皮脂が増えることもあるため、栄養の整ったフードを選ぶよう心がけましょう。
皮膚に良い成分を含むフードやサプリメントが効果的なこともあります。
温度湿度の管理
どの犬種でも夏場は皮膚病にかかりやすいですが、シーズーは特に高温多湿の環境に弱いです。
エアコンや除湿機などを使ってなるべく快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。
まとめ
シーズーは皮膚病が多い犬種です。
シーズーの皮膚病は体質によるところが大きいですが、皮膚の状態に合う治療やスキンケアを行うことで症状を改善することができます。
個々の犬やご家庭の状況に合わせて、続けていけるケアを考えていきましょう。
シーズーの皮膚の痒みやべたつきにお悩みの飼い主様は、ぜひ当院にてご相談ください。
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