フレンチブルドッグの皮膚病について|かゆみ・赤みの原因を知っていますか?
2025年09月07日カテゴリ|コラム
フレンチブルドッグの皮膚病について|かゆみ・赤みの原因を知っていますか?
フレンチブルドッグの皮膚が赤くなってかゆがっていたり、フケが多くなったりしたことはありませんか?
フレンチブルドッグはその愛らしい見た目とは裏腹に、皮膚のトラブルが起きやすい犬種として知られています。
今回は、フレンチブルドッグに多い皮膚病とその原因・治療法についてわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、皮膚トラブルの予防や早期対処にお役立てください。
フレンチブルドッグはなぜ皮膚病が多いの?
フレンチブルドッグは短毛でしっかりした体格の犬種です。
皮膚が非常にデリケートな犬でもあります。
皮膚病が多い理由として、以下のような体質や特徴があります。
- 皮膚が薄くて敏感
- 皮脂の分泌が多い
- 顔や体にシワが多く、通気性が悪い
- アレルギー体質の個体が多い
これらの要素が重なることで、ちょっとした刺激や湿気によって皮膚に炎症が起こりやすくなります。
よくある皮膚病とその特徴
フレンチブルドッグに多い皮膚病には、次のようなものがあります。
犬アトピー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎はアレルギーの一種で、体質的に皮膚に炎症を起こしやすい状態です。
フレンチブルドッグでは若い頃から発症することが多く、かゆみが主な症状です。
顔・耳・脇・足先などをしきりに掻いたり舐めたりする行動が見られます。
マラセチア性皮膚炎
マラセチア性皮膚炎は皮膚に常在するマラセチアという酵母菌による炎症です。
マラセチアが異常に増殖して、かゆみ・赤み・脂っぽい臭いを伴う皮膚炎を起こします。
皮脂の分泌が多いフレンチブルドッグはマラセチア性皮膚炎を発症しやすくなります。
フレンチブルドッグの耳やシワの間、脇の下などがよく影響を受けやすい箇所です。
細菌性皮膚炎(膿皮症)
細菌性皮膚炎は皮膚に小さなブツブツができたり、赤くなったり、かさぶたになったりする病気です。
かゆみのある部分をかき壊すことで細菌が繁殖し、さらに悪化することもあります。
細菌性皮膚炎は繰り返す傾向があるため、体質に応じたスキンケアが必要です。
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎はノミに刺されることによる強いかゆみと炎症が起きる病気です。
しっぽの付け根や背中、腰回りに強いかゆみが出るのが特徴です。
ノミの寄生が見えなくても、刺された痕跡だけでアレルギー反応を起こす場合があります。
食物アレルギー
食物アレルギーは、特定の食材に対してアレルギー反応を起こす病気です。
皮膚炎や下痢を伴うことがあります。毎日食べているごはんが原因となるため、気づかれにくいケースもあります。
診断と治療の流れ
フレンチブルドッグの皮膚病は、原因が1つとは限らないことが多いため、正確な診断がとても大切です。
診断には以下のような検査が行われます。
- 皮膚検査(顕微鏡・テープ検査)
- 血液検査
- アレルギー検査
治療法は原因によって異なりますが、次のような方法を組み合わせて行います。
- 内服薬(抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、抗真菌薬など)
- 外用薬(塗り薬、シャンプー)
- 食事療法(アレルゲン除去食など)
- スキンケア(定期的なシャンプーや保湿)
- 生活環境の改善(清潔な寝床、湿度管理など)
フレンチブルドッグの皮膚の病気は慢性化しやすいため、症状が軽くなった後も継続したケアが必要になります。
飼い主様が気をつけたいポイント
ご家庭で飼い主様がフレンチブルドッグの皮膚に対して気をつけたいポイントを紹介しましょう。
- かゆみや脱毛を見逃さない
- 定期的にシワや皮膚をチェックする
- 強い香りや刺激のあるシャンプーは避ける
- 皮膚の状態が悪化する前に受診する
フレンチブルドッグの皮膚の状態は見た目の変化が出やすいため、早めに気づくことができます。
犬の皮膚がいつもと違うと思ったら、無理に様子を見ずに早めの相談を心がけましょう。
まとめ
フレンチブルドッグは皮膚トラブルが起きやすい犬種です。
原因をしっかり突き止めて、適切な治療やケアを行えば改善が期待できます。
繰り返すかゆみや赤み、被毛の異常などが見られたら、早めに動物病院で診察を受けましょう。
当院では、皮膚病の診療に力を入れています。
皮膚のかゆみや脱毛など、気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。
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2025年09月02日カテゴリ|お知らせ
犬の僧帽弁閉鎖不全症のステージDとは|末期心不全と向き合い、愛犬を支えるために
2025年08月28日カテゴリ|コラム
犬の僧帽弁閉鎖不全症のステージDとは|末期心不全と向き合い、愛犬を支えるために
僧帽弁閉鎖不全症は老齢の小型犬に多く見られる心臓病です。
進行性の心臓病である僧帽弁閉鎖不全症は、症状に応じてステージが進んでいき、ステージDは末期段階とも言える状態です。
ステージDに至ると治療に対する反応が乏しく、急変や命に関わる状態になることもあります。
今回は、僧帽弁閉鎖不全症ステージDについて、どのような状態なのか、考えられる治療と日常のケア、飼い主様ができることを詳しく解説します。
心臓病の愛犬と過ごす時間を大切にするために、ぜひ最後までお読みください。
僧帽弁閉鎖不全症とステージ分類(ACVIM分類)
僧帽弁閉鎖不全症は、心臓の弁がうまく閉じず、血液が逆流して心臓に負担をかける病気です。
ACVIM分類では進行度が次のように分けられます。
- ステージA:リスクはあるが心臓に異常なし
- ステージB1:心雑音あり、心拡大なし、無症状
- ステージB2:心拡大あり、無症状
- ステージC:症状が現れた心不全期
- ステージD:治療抵抗性の末期心不全
今回はステージDについて詳しく見ていきましょう。
ステージDとは?
僧帽弁閉鎖不全症のステージDは、これまでのステージで行ってきた内科治療(強心薬、利尿薬、血管拡張薬など)では十分にコントロールできない、治療抵抗性の末期心不全状態です。
心臓の負担が極限に達し、肺水腫による呼吸困難や全身への血流不足で、日常生活に支障をきたします。
症状としては
- 口を開けて呼吸する
- 安静時も呼吸が浅い
- 食欲不振、脱水、体重減少
- 起立困難
- 咳の悪化
- 失神やふらつき
などが見られることがあります。
ステージDの段階では、犬自身も非常に苦しく、命の危険が高い状態です。
このような状態の時はいつ心臓が止まってもおかしくないため、迷わず動物病院に連絡し、適切な対応を受けましょう。
ステージDの治療とケア
僧帽弁閉鎖不全症のステージDの治療では、少しでも楽に過ごせるように対症療法を行います。
- 利尿薬の増量や組み合わせで肺水腫の緩和
- 強心薬(ピモベンダンなど)や血管拡張薬で心臓負担を軽減
- 酸素吸入や点滴療法
- 必要に応じて入院管理
などの治療を本人の状態に合わせて行っていきます。
ステージDの段階では治療で心臓そのものがよくなることはほとんどないため、どれだけ症状を和らげ、生活の質を少しでも上げることができるかがポイントになります。
末期の段階だからといって治療ができないというわけではありません。
犬の体の負担を少しでも取り除くためにも、できる治療を行っていきましょう。
日常でできること、家族としてできること
僧帽弁閉鎖不全症のステージDの段階では、病院への頻繁な通院も難しいためご自宅でできるケアが重要になってきます。
安静で過ごせる環境づくり
犬が呼吸がしやすい体勢を整え、室温・湿度を快適に保つことで、興奮せずに安静に過ごす環境を作ることができます。
食事と水分補給
ステージDでは食欲が低下することが多いので、食べやすいフードにするなど工夫しましょう。
場合によっては流動食の検討も必要です。
こまめな観察
呼吸数、苦しさ、食欲などをよく観察し、異変があればすぐ動物病院へ相談しましょう。
通院が難しい時は、どのような対応をすればいいか獣医師に聞いてみてもいいかもしれません。
家族のサポート
ステージDの犬は体もしんどいことが多く、見ている飼い主様も辛くなるかもしれません。
飼い主様も無理をせず、家族や動物病院と連携を取りながら、犬と一緒に穏やかな時間を大切にしてください。
まとめ
犬の僧帽弁閉鎖不全症ステージDは、「治療が効きにくい末期心不全」で急変の可能性が高い状態です。
「様子を見よう」とは考えず、少しでも異変を感じたらすぐに受診し、愛犬にとってできる限りのサポートを行いましょう。
当院では、循環器診療に力を入れており、末期心不全の犬とそのご家族をサポートしています。
「呼吸が苦しそうで心配」「何をしたらいいかわからない」と感じたら、早めにご相談ください。
愛犬と一緒に過ごす時間を大切に、少しでも穏やかに過ごせるよう一緒に考えていきましょう。
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2025年08月25日カテゴリ|お知らせ
犬の僧帽弁閉鎖不全症のステージCとは|症状が現れたら早急な対応を
2025年08月21日カテゴリ|コラム
犬の僧帽弁閉鎖不全症のステージCとは|症状が現れたら早急な対応を
「最近、犬が咳をするようになった」
「散歩に行きたがらない、息が荒い」
「寝ているときに呼吸が苦しそう」
このような症状が見られる場合、犬の心臓に負担がかかっている可能性があります。
特に僧帽弁閉鎖不全症は、進行すると心臓病の症状が顕著になり、命に関わることもあるため注意が必要です。
今回は、僧帽弁閉鎖不全症のステージCについて、症状や治療、日常生活で気をつけるポイントを詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の心臓の健康を守る参考にしてください。
僧帽弁閉鎖不全症とステージ分類(ACVIM分類)
僧帽弁閉鎖不全症は、心臓の弁がうまく閉じず血液が逆流して心臓に負担をかける病気です。
ACVIM分類により、進行度は次のように分けられます。
- ステージA:リスクはあるが心臓に異常なし
- ステージB1:心雑音あり、心拡大なし、無症状
- ステージB2:心拡大あり、無症状
- ステージC:症状が現れた心不全期
- ステージD:治療抵抗性の末期心不全
僧帽弁閉鎖不全症のステージCとは?
僧帽弁閉鎖不全症のステージCは、僧帽弁の逆流や心拡大が進行し、心不全の症状が現れた状態です。
ステージCでは心臓からの血液の送り出しが十分に行えず、肺に水がたまる肺水腫の発生や、全身に酸素や栄養が行き渡らないために食欲不振や疲れやすさが見られます。
この段階では、犬は非常に苦しい状態に陥りやすく、早急な対応が必要です。
症状の具体例としては
- 咳
- 苦しそうな呼吸
- 散歩や運動を嫌がる、疲れやすい
- 食欲不振、元気消失、体重減少
- 横になったときに呼吸が苦しくなる
などがあげられます。
ステージCの段階になると、症状の進行が早く急変の可能性も高くなります。
僧帽弁閉鎖不全症は急変すると命に関わることもあるため、早急な対応が必要です。
ステージCの症状が見られる場合には迷わずすぐに動物病院を受診しましょう。
ステージCの治療とケア
犬の僧帽弁閉鎖不全症のステージCでは、心不全の症状を改善し、犬のQOL(生活の質)を守るため、治療が本格的に行われます。
治療は主に内科治療で強心薬を使用して心臓のポンプ機能をサポートし、心臓の働きを維持する治療です。
合わせて利尿薬や血管拡張薬を使うことで、肺水腫による呼吸困難を和らげたり、心臓への負担を軽減し、血流を改善したりする治療も行います。
この段階では、薬物治療が命を守るカギとなるため、症状に気づいたらすぐに受診し、獣医師と相談して適切な治療を開始しましょう。
特にステージCは進行が早く、1日単位で状態が悪化する可能性があります。
僧帽弁閉鎖不全症の治療中も何か体調や症状に変化があった場合には、動物病院を受診するようにしてください。
日常生活で気をつけたいポイント
ステージCでは、日常生活の管理も重要です。
塩分控えめの食事
心臓に負担のある塩分を含む食事は控えていきましょう。
心臓病用療法食や、低ナトリウムの食事をとることで心臓の負担を軽減できる可能性があります。
運動制限
無理な散歩や激しい運動は避けて心臓の負担を減らす必要があります。
特に咳や呼吸の状態が悪い場合には、安静が必要です。
室温管理
息苦しさを軽減するため、室温や湿度を快適に保ちます。
こまめな観察
ステージCの段階では急変の可能性があります。
犬の呼吸数、食欲、元気の有無、咳の有無などを毎日チェックし、異変があれば早めに動物病院を受診しましょう。
まとめ
犬の僧帽弁閉鎖不全症ステージCは、「症状が現れた心不全期」です。
咳や息切れ、食欲不振といったサインを見逃さず、早期の受診と治療が命を守るカギとなります。
ステージCの段階で症状が進行すると、命に関わることもあるため様子見をせずに動物病院を受診しましょう。
当院では、循環器診療に力を入れており、ステージCの診断・治療・生活管理までサポートしています。
「咳が増えた」「なんだか元気がない」など気になる症状があれば、ぜひ早めにご相談ください。
愛犬の心臓を守るために、今からできることを始めましょう。
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