キャバリアでよくみられる皮膚病について|原因と対策を解説
2025年10月21日カテゴリ|コラム
キャバリアでよくみられる皮膚病について|原因と対策を解説
キャバリア(キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル)は、気品ある見た目と人懐っこく遊び好きな性格で人気の高い犬種です。
長く美しい被毛に惹かれてお迎えした飼い主さんも多いでしょう。
一方で、皮膚トラブルが起こりやすい犬種でもあります。
症状が繰り返しあらわれ、「何度治療しても再発する…」と悩んでいる飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はキャバリアに多い皮膚病と、皮膚を守るために飼い主さんができることをまとめました。
ぜひ最後までお読みいただき、日頃のケアにお役立てくださると幸いです。
キャバリアの特徴
キャバリアはイギリス原産の小型犬で、「中世の騎士」を意味します。
おおらかで懐っこい性格から、ファミリーにも人気の犬種です。
被毛はダブルコートで、オーバーコート(表面を覆う荒い毛)とアンダーコート(皮膚近くを覆う密な毛)の二重になっています。
一年を通して抜け毛が多く、また、長く柔らかい被毛を持つため毛玉ができやすいのも特徴です。
毛玉は皮膚を引きつれさせ、通気性を悪くすることで皮膚病の原因になります。
こまめなブラッシングを心がけましょう。
キャバリアで多い皮膚病
キャバリアでよく見られる皮膚病には、以下のものがあります。
犬アトピー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎は、主に以下の要因が絡み合うことで発症します。
- 花粉など環境中のアレルギー物質に対する炎症反応
- 皮膚のバリア機能異常
- 皮膚常在細菌のバランス異常
症状はかゆみやフケ、皮膚の赤み、湿疹などです。
これらの症状が初めて見られるのは1〜3歳が多いですが、高齢になってからの場合もあります。
発症初期は高温多湿の夏に悪化するなどの季節性があるものの、やがて慢性化し、一年を通して症状が続く状態となることが多いです。
治療は内服薬、外用薬、シャンプーなどのスキンケアを組み合わせて行われます。
完治は難しい病気のため、「寛解(症状がない、またはほとんどない状態)」を目指すことが治療のゴールです。
食物アレルギー
食物アレルギーは、小麦や肉類など特定の食べ物に対するアレルギー反応によって発症する病気です。
多くは1歳までに発症します。
いずれも非季節性に、犬アトピー性皮膚炎に似た以下のような症状が出ます。
- かゆみ
- フケ
- 赤み
- 湿疹
症状だけでの診断は難しく、犬アトピー性皮膚炎と併発することもしばしば。
食物アレルギーの診断は、感染症などの皮膚病ではないことを確かめた後、原因となる食材を除いたフードを数ヵ月単位で試し、症状との関連を見て行います。
犬アトピー性皮膚炎を合併していない場合は、原因となる食材を除いた厳格な食事管理により、症状のコントロールが可能です。
マラセチア皮膚炎
マラセチアは皮膚・粘膜の常在菌である酵母(カビ)の一種です。
普段は特に悪さはしませんが、夏場の高温多湿環境など何らかの原因により過剰に増殖することで皮膚炎を引き起こします。
犬アトピー性皮膚炎の犬では皮膚のバリア機能が低下しているため特にマラセチア皮膚炎を発症しやすく、その上犬アトピー性皮膚炎の悪化要因ともなります。
マラセチア皮膚炎の症状は以下のとおりです。
- 皮膚の赤み
- 皮膚の肥厚
- フケ
- かゆみ
- 独特のニオイ
マラセチア皮膚炎は患部から採った皮膚のかけらを染色し、顕微鏡でマラセチアを確認することで診断します。
治療の基本はこまめなシャンプーです。
症状により外用薬や内服薬も用います。
脂漏症
脂漏症は、遺伝的要因で皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が早まり、皮脂の分泌が過剰になることで起こる病気です。
ベタつきやフケ、かゆみが主な症状で、多くは2歳までに発症します。
加齢に伴って慢性化し、かき壊しにより皮膚が厚く硬い象の皮膚のようになってしまうことも。
お腹や脇の下、内股など擦れるところに症状が出やすいです。
脂漏症の犬はマラセチア皮膚炎や細菌感染を起こしやすく、症状悪化の原因にもなります。
完治はしませんが、脱脂作用や角質溶解作用のあるシャンプーを定期的に使用することで、症状のコントロールが可能です。
膿皮症
膿皮症は、皮膚常在菌であるブドウ球菌が異常増殖して炎症を起こすことで発症します。
高温多湿な夏場は特に発症しやすいです。
また、犬アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなど、皮膚バリアが低下する基礎疾患を持っているとより起こりやすくなります。
症状は以下のとおりです。
- かゆみ
- 湿疹
- かさぶた
- フケ
- 皮膚の赤み
- 脱毛
これらの症状はキャバリアの長い毛で隠れてしまうことも多いため、注意が必要です。
膿皮症は基本的に消毒薬や外用薬で治療しますが、症状の程度によっては内服薬を用いることもあります。
抗菌剤が含まれたシャンプーも異常増殖したブドウ球菌を減らすのに有効です。
家庭でできる皮膚病への対策
「皮膚病かな?」と感じたら、まずは獣医師の診察を受けて原因を特定・診断することが重要です。
以下のような気になる症状があれば早めに受診しましょう。
- 体をしきりに掻く
- 手足や体を舐める
- 皮膚の赤み
- 湿疹
- フケ
- 脱毛
ただし、皮膚病は長い付き合いになることが多いため、自宅でのケアが大きなポイントとなります。
以下に紹介するような適切なケアにより、皮膚病を予防することもできます。
ブラッシング
キャバリアは長い被毛を持つため、こまめなブラッシングが必要不可欠です。
毛玉は蒸れや通気性の悪化を招き、皮膚トラブルにつながります。
ブラッシングは皮膚のマッサージやスキンシップにもなるため、積極的に行いましょう。
シャンプー
シャンプーは皮膚病治療の基本です。
以下のように、原因に合わせて適切なシャンプーを使い分けましょう。
- 犬アトピー性皮膚炎・食物アレルギー:保湿効果のあるもの
- マラセチア皮膚炎:抗真菌薬を含むもの
- 脂漏症:脱脂効果のあるもの
- 膿皮症:抗菌薬を含むもの
洗いすぎやゴシゴシ洗いは皮膚に刺激となるため、注意が必要です。
ぬるま湯で優しく洗い、よくすすぎ、しっかり乾かしてあげましょう。
保湿
犬アトピー性皮膚炎など、アレルギー体質の犬では皮膚が乾燥してバリア機能が低下しています。
かゆみなどの症状改善には適切な保湿が効果的です。
食事・サプリメント
皮膚の健康を保つ成分(オメガ3脂肪酸、ビタミン類など)を含むフードやサプリメントで、症状が改善することがあります。
また、食物アレルギーの場合は、原因となる食材を含まないフードを与えること自体が治療です。
おやつなどを与えたくなる気持ちをぐっとこらえ、厳格な食事管理を心がけましょう。
まとめ
皮膚病の治療では、症状が良くなっても自己判断で薬をやめないこと、定期的なチェックを受けること、異変があれば早期に受診することがとても大切です。
一部の皮膚病は完治が難しいものもありますが、その子に合った治療やスキンケアを行うことで、症状をコントロールし、快適な生活を送ることが可能です。
愛犬にとって無理のない方法で、飼い主さんと一緒に続けていけるケアを見つけていきましょう。
かゆみや皮膚の赤みなど、キャバリアの皮膚トラブルでお悩みの飼い主さんは、ぜひ当院へご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. キャバリアはどうして皮膚病を繰り返しやすいのですか?
A1. キャバリアは皮膚のバリア機能が弱く、アレルギーやマラセチア、細菌感染を起こしやすい体質を持つ犬が多い犬種です。
さらに長い被毛によって蒸れやすく、皮膚環境が悪化しやすいことも再発しやすい理由のひとつです。
Q2. キャバリアの皮膚病は完治しますか?
A2. 犬アトピー性皮膚炎や脂漏症など、キャバリアに多い皮膚病の中には完治が難しい病気もあります。
ただし、適切な治療とスキンケアを継続することで、症状を安定させて快適な生活を送ることは十分可能です。
Q3. キャバリアの皮膚病予防で飼い主ができることは何ですか?
A3. 飼い主様ができる予防として、こまめなブラッシング、原因に合ったシャンプー、保湿ケア、そして食事管理が重要です。
加えて、かゆみや赤みなどの初期変化を早めに見つけて受診することが、重症化を防ぐ大きなポイントになります。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
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犬のかゆみ、原因はストレスかも?|犬のストレスによるかゆみについて解説
2025年10月14日カテゴリ|コラム
犬のかゆみ、原因はストレスかも?|犬のストレスによるかゆみについて解説
犬のかゆみの原因のひとつにストレスがあるということをご存知ですか?
犬の皮膚のかゆみについてお悩みのあるご家族は非常に多いです。
愛犬がかゆみに耐えている様子や、かゆみにより皮膚の状態が悪くなっていく様子を見るのはご家族にとっては悲しいことですよね。
今回は、犬のストレスによるかゆみについて解説します。
ぜひ最後まで読んでいただき、愛犬の皮膚の健康だけでなく、生活の質の改善を目指しましょう。
犬のストレスによるかゆみの特徴
犬がストレス等により過剰に同じ部位をなめることで発症する皮膚炎を、舐性皮膚炎と言います。
舐性皮膚炎というのは、漢字の通り「なめる」ことにより発症する皮膚炎です。
犬はストレスを感じると、様々な異常行動が出ることがあります。
その異常行動のなかに「皮膚の同じ部位をなめ続ける」というものがあります。
しつこく舐め続けることで、その部分の被毛が薄くなり、次第に皮膚がえぐれていくことでできた皮膚炎が舐性皮膚炎です。
舐性皮膚炎になってしまうと、かゆみや痛みを伴うようになるためさらに皮膚をなめるようになるという悪循環に陥ってしまいます。
これが犬のストレスによるかゆみの正体です。
犬の舐性皮膚炎は、
- 足先の肉球と反対側の皮膚から発症する
- 舐める行動にきっかけやパターンがある
- 単一の病変である
ことが多いというのが特徴の皮膚炎です。
舐性皮膚炎は軽度であれば被毛が薄くなったり、皮膚が赤くなります。
重症になってくると、指の間の皮膚がズルむけて赤くじゅくじゅくしたり、皮膚の状態が悪くなることで感染症を併発して膿が出たりすることもあります。
舐性皮膚炎は5歳以上の雄犬での発症が多く、ジャーマン・シェパードやドーベルマンなどの大型犬が好発犬種です。
どうしてストレスがかゆみの原因だとわかるの?
犬のかゆみの原因が、ストレスであることを証明するのは非常に困難です。
犬は言葉を話しませんし、ストレスの検査も現段階では信憑性のあるものが確立されていません。
かゆみの原因にストレスが疑われる場合に、最も重要になるのがご家族による観察です。
観察していただきたいポイントとしては
- いつからその部位を舐めるようになったのか
- 何かきっかけがあるのか
- どのようなときに舐めているか
などがあります。
このような情報の中で、皮膚をなめる行動がストレスがかかっているときに集中していたり、ストレスとなる事象がきっかけとなっていることが多ければ、ストレスによるかゆみの可能性が疑われます。
ストレスによる舐性皮膚炎の好発部位である足先は、皮膚に異物が入り込んで発症する皮膚炎やアレルギー性皮膚炎の好発部位です。
異物による皮膚炎やアレルギー性皮膚炎でもかゆみの症状が出るため、皮膚の検査や試験的な治療等も診断に重要な情報となります。
ストレスが原因である場合は、治療が他の病気と大きく異なるため、診断が非常に重要です。
原因がストレスの場合、治療法ってあるの?
ストレスが原因のかゆみで、皮膚の状態がどんどん悪化してしまうような状況は飼い主様としてはなんとか早くぬけだしたいですよね。
犬の場合、「舐めるのをやめなさい」と注意しても、一時的にやめても完全になくなることはほとんどありません。
犬のストレスによるかゆみはどのような治療法があるのでしょうか。
ストレス要因の除去
どのような病気でも原因にストレスが疑われる場合には、根本的な治療はストレスとなり得る要因の除去です。
皮膚をなめる行動が始まったきっかけやパターンがはっきりしている場合には、その状況を変えることが最も効果的です。
犬のストレス要因としては、
- 分離不安症
- 引越しなどの環境変化
- 同居の家族や犬の増減
- 生活リズムの変化
- 騒音やにおい
などが一般的です。
このような要因の中で当てはまるものがあれば、環境改善などの対策を行うことでなめる行動を減らすことができるかもしれません。
精神安定剤による治療
犬のストレス要因を除去することができない場合や、それだけでは解決しない場合は、行動改善薬として不安を落ち着かせるサプリメントや人間の抗うつ剤を使うこともあります。
行動改善薬は常用することも可能ですが、一時的な投薬でも効果が期待できるものもあります。
原因としてストレスが考えられるけど、なめる行動をするのが一時的で、かつどのような状況で犬がストレスを感じるかわかっている場合などですね。
例えば、騒音に敏感な犬の場合は近所でお祭りや工事がある日に、旅行や引っ越しなどで環境変化がある場合はその前後に、投薬すると効果的な場合もあります。
併発疾患の治療
かゆみがある場合、皮膚の状態によっては感染症を併発している場合も多いです。
皮膚の状態が悪くなることで、皮膚のバリア機能が低下するため、感染症を続発してしまうことが珍しくありません。
その場合は、まずは感染症の治療を行う必要があります。
ストレス要因の除去や投薬治療の効果の判定のためにも、続発している感染症の治療を徹底的に行うことが重要です。
物理的な皮膚の保護
ストレスによるかゆみで、一度皮膚の状態が悪くなってしまった場合には、皮膚の物理的な保護も有用です。
エリザベスカラーや包帯などが装着可能な場合は、犬がこれ以上なめられなくする効果があります。
物理的な保護は様々な選択肢がありますが、犬の性格や皮膚の状態によっては逆効果になることもあるので、獣医師に必ず相談しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はストレスが原因の犬のかゆみについて解説しました。
ストレスが原因の病気は、ご相談いただく犬やご家族によって、ワンパターンの治療では改善しないため、診断や治療がとても難しい分野のひとつです。
診断にも治療にも、しっかりご家族と相談し協力していただくことが非常に重要になります。
当院は皮膚科に力を入れており、このような難しい皮膚炎の治療についてもご家族と二人三脚で行なっていきます。
犬のなかなか改善しない皮膚炎やストレスによる皮膚炎の改善策でお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 犬のかゆみがストレスだけで起こることは本当にあるのですか?
A1. 犬は強いストレスを感じると、同じ場所をなめ続ける行動を繰り返し、その刺激が原因で皮膚炎とかゆみを引き起こすことがあります。
皮膚に目立った異常が見つからない場合でも、行動や生活環境の変化からストレス性のかゆみが疑われることがあります。
Q2. 犬のストレスによるかゆみと、アレルギーのかゆみはどうやって見分けるのですか?
A2. 犬のストレスによるかゆみは、特定の時間帯や状況で舐める行動が集中することが多いのが特徴です。
一方で、アレルギー性皮膚炎では季節性や全身性のかゆみが出やすくなります。
かゆみの原因は皮膚検査や治療への反応を見ながら総合的に判断されます。
Q3. 犬のストレス性のかゆみは、薬だけで治すことができるのでしょうか?
A3. 犬のストレスによるかゆみは、薬だけで完全に改善することは難しく、生活環境やストレス要因の見直しがとても重要です。
必要に応じて行動改善薬やサプリメントを併用しながら、原因へのアプローチと皮膚の治療を同時に行いましょう。
Q4. 犬が足先ばかり舐める場合は、必ずストレスが原因なのでしょうか?
A4. 犬が足先を舐める原因は、ストレスだけでなく、アレルギーや異物の侵入、細菌感染などさまざまな病気が関係することがあります。
ストレスと決めつけずに、まずは皮膚の検査を行い、他の病気をしっかり除外することが大切です。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
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犬のかさぶたは放置しても大丈夫?|かさぶたは病気のサインかも
2025年10月07日カテゴリ|コラム
犬のかさぶたは放置しても大丈夫?|かさぶたは病気のサインかも
「犬のかさぶたがなかなか治らない」
「ただのかさぶただと思ったのに範囲が広がってきた」
このような犬のかさぶたに関するトラブルは意外と多いです。
今回の記事ではかさぶたが関連する皮膚疾患について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、皮膚トラブルに気づくヒントにしてみてください。
犬のかさぶたの正体とは
かさぶたとは傷などがきっかけで皮膚から滲んだ血液などが皮膚の表面で固まったものです。
かさぶたは皮膚が傷ついたあとに修復する過程で見られる正常な反応です。
かさぶたが作られることで外部からの細菌や異物の侵入を防ぎ、皮膚を保護する役割があります。
かさぶたの下では新しい皮膚が作られ、かさぶたが自然とはがれることで傷が治癒します。
犬のかさぶたは放置していいの?
単純なかすり傷などの後にできるかさぶたは、通常の傷であれば自然に剥がれ落ちるまで放置しても問題ありません。
しかし、同じ場所に何度もかさぶたができたり、かさぶたが長期間治らない場合は背景に皮膚疾患が関連していることもあります。
かさぶたが繰り返す場合やかさぶたが治らない場合は、放置せずに動物病院を受診しましょう。
なぜかさぶたができるの?
外傷だけでなくさまざまな皮膚疾患がかさぶたの原因になります。
それぞれの原因について詳しくみていきましょう。
外傷
皮膚に傷ができると一時的に出血が起こり、止血の反応としてかさぶたができます。
特に犬の場合は毛に覆われているため、傷が毛の下に隠れてよく見えないこともあるため注意が必要です。
膿皮症やマラセチア性皮膚炎
皮膚への感染症が原因でかゆみが生じ、かさぶたができることがあります。
皮膚感染症の代表的な原因は細菌であるブドウ球菌や真菌であるマラセチアです。
ブドウ球菌などの細菌性の皮膚炎を膿皮症、マラセチアによる皮膚炎をマラセチア性皮膚炎と言います。
皮膚の感染にともなう強いかゆみがあると犬は皮膚をひっかいたり、舐めたりしてしまいます。
犬自身が皮膚を傷つけてしまうことでその部分でかさぶたができることが多いです。
これにより、膿や体液がにじみ、乾燥することでかさぶたが形成されます。
アレルギー性皮膚炎
アレルギーによるかゆみもかさぶたの要因の1つです。
犬のアレルギー性皮膚炎はおもに
- 食物アレルギー
- ノミアレルギー
- 犬アトピー性皮膚炎
が挙げられます。
アレルギーとは体を守るために働く免疫が過剰に反応することで皮膚のかゆみや炎症が生じる病気です。
アトピー性皮膚炎とは花粉やハウスダストなどの環境中のアレルゲンに反応するアレルギーを指します。
これらのアレルギーが原因で全身にかゆみが生じ、ひっかくことで、皮膚に小さな傷やかさぶたが生じます。
腫瘍
皮膚の腫瘍もかさぶたの原因です。
皮膚表面にできる腫瘍の中には表面が傷つくことで出血し、かさぶたが形成されることもあります。
腫瘍によるかさぶたは一見、単なるかすり傷と区別がつかないこともあるため、注意が必要です。
かさぶたができた時の治療は?
かさぶたができた時はその原因に応じて適切な治療を行います。
以下では代表的な疾患の治療について紹介します。
外傷によるかさぶたの治療
外傷によるかさぶたの治療では患部を清潔に保ち、感染のコントロールを行います。
小さな傷で感染や炎症が無ければ自然治癒を待つことも多いです。
感染や化膿があれば、
- 傷の洗浄
- 抗生剤の投与
- 排膿処置
- 縫合処置
などが状況に応じて必要になります。
かさぶたの範囲が狭く見えても、皮膚の下の感染や炎症が広がっている可能性があるため、見た目だけで判断せず、慎重な評価が必要です。
細菌や真菌の感染によるかさぶたの治療
皮膚の感染症が原因でかさぶたができている場合は原因に応じて
- 抗生剤
- 抗真菌薬
- かゆみ止め
などを用いた薬による治療を行います。
さらに治療効果を高め、再発を防ぐためにスキンケアも重要です。
保湿や洗浄を日常的に行うことで皮膚バリア機能を保ち、皮膚環境を整えることができます。
アレルギーによるかさぶたの治療
アレルギーの治療は原因となるアレルゲンの除去やかゆみの抑制です。
食物アレルギーの場合はドックフードやおやつをアレルギー対応のものに変更します。
花粉やハウスダストなどのアレルギーの場合は散歩コースの変更や部屋の掃除が必要になることもあります。
しかし、アレルゲンの完全除去は難しいため、かゆみ止めの薬を服用することでかゆみを軽減することが多いです。
まとめ
かさぶたは軽い皮膚トラブルに思われがちですが、背景に皮膚疾患が隠れていることもあります。
皮膚疾患が背景にある場合はかゆみによってさらに皮膚を傷つけてしまうこともあるため、早期の治療が重要です。
当院では皮膚疾患の治療を幅広く行っております。
今回の記事の内容に心当たりのある方は、ぜひ当院までご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 犬のかさぶたはすべて放置しても問題ないのでしょうか?
A1. 犬のかさぶたは、単純な外傷が原因であれば自然に治ることもあります。
ただし、同じ場所に繰り返しできる場合や長期間治らない場合は、皮膚病が隠れている可能性があるため受診が必要です。
Q2. 犬のかさぶたにかゆみがない場合でも受診した方がよいですか?
A2. 犬のかさぶたは、かゆみが目立たなくても膿皮症や腫瘍などが原因になっていることがあります。
見た目だけで判断せず、治りが悪い場合や範囲が広がる場合は早めに動物病院で診察を受けることが大切です。
Q3. 犬のかさぶたができたときに自宅で消毒しても大丈夫ですか?
A3. 犬のかさぶたは、誤った消毒によってかえって皮膚を傷めてしまうことがあります。
原因によって治療が異なるため、自己処置を続ける前に一度は獣医師に相談することが安心です。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
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2025年09月29日カテゴリ|お知らせ
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