犬のかさぶたは放置しても大丈夫?|かさぶたは病気のサインかも
2025年10月07日カテゴリ|コラム
犬のかさぶたは放置しても大丈夫?|かさぶたは病気のサインかも
「犬のかさぶたがなかなか治らない」
「ただのかさぶただと思ったのに範囲が広がってきた」
このような犬のかさぶたに関するトラブルは意外と多いです。
今回の記事ではかさぶたが関連する皮膚疾患について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、皮膚トラブルに気づくヒントにしてみてください。
犬のかさぶたの正体とは
かさぶたとは傷などがきっかけで皮膚から滲んだ血液などが皮膚の表面で固まったものです。
かさぶたは皮膚が傷ついたあとに修復する過程で見られる正常な反応です。
かさぶたが作られることで外部からの細菌や異物の侵入を防ぎ、皮膚を保護する役割があります。
かさぶたの下では新しい皮膚が作られ、かさぶたが自然とはがれることで傷が治癒します。
犬のかさぶたは放置していいの?
単純なかすり傷などの後にできるかさぶたは、通常の傷であれば自然に剥がれ落ちるまで放置しても問題ありません。
しかし、同じ場所に何度もかさぶたができたり、かさぶたが長期間治らない場合は背景に皮膚疾患が関連していることもあります。
かさぶたが繰り返す場合やかさぶたが治らない場合は、放置せずに動物病院を受診しましょう。
なぜかさぶたができるの?
外傷だけでなくさまざまな皮膚疾患がかさぶたの原因になります。
それぞれの原因について詳しくみていきましょう。
外傷
皮膚に傷ができると一時的に出血が起こり、止血の反応としてかさぶたができます。
特に犬の場合は毛に覆われているため、傷が毛の下に隠れてよく見えないこともあるため注意が必要です。
膿皮症やマラセチア性皮膚炎
皮膚への感染症が原因でかゆみが生じ、かさぶたができることがあります。
皮膚感染症の代表的な原因は細菌であるブドウ球菌や真菌であるマラセチアです。
ブドウ球菌などの細菌性の皮膚炎を膿皮症、マラセチアによる皮膚炎をマラセチア性皮膚炎と言います。
皮膚の感染にともなう強いかゆみがあると犬は皮膚をひっかいたり、舐めたりしてしまいます。
犬自身が皮膚を傷つけてしまうことでその部分でかさぶたができることが多いです。
これにより、膿や体液がにじみ、乾燥することでかさぶたが形成されます。
アレルギー性皮膚炎
アレルギーによるかゆみもかさぶたの要因の1つです。
犬のアレルギー性皮膚炎はおもに
- 食物アレルギー
- ノミアレルギー
- 犬アトピー性皮膚炎
が挙げられます。
アレルギーとは体を守るために働く免疫が過剰に反応することで皮膚のかゆみや炎症が生じる病気です。
アトピー性皮膚炎とは花粉やハウスダストなどの環境中のアレルゲンに反応するアレルギーを指します。
これらのアレルギーが原因で全身にかゆみが生じ、ひっかくことで、皮膚に小さな傷やかさぶたが生じます。
腫瘍
皮膚の腫瘍もかさぶたの原因です。
皮膚表面にできる腫瘍の中には表面が傷つくことで出血し、かさぶたが形成されることもあります。
腫瘍によるかさぶたは一見、単なるかすり傷と区別がつかないこともあるため、注意が必要です。
かさぶたができた時の治療は?
かさぶたができた時はその原因に応じて適切な治療を行います。
以下では代表的な疾患の治療について紹介します。
外傷によるかさぶたの治療
外傷によるかさぶたの治療では患部を清潔に保ち、感染のコントロールを行います。
小さな傷で感染や炎症が無ければ自然治癒を待つことも多いです。
感染や化膿があれば、
- 傷の洗浄
- 抗生剤の投与
- 排膿処置
- 縫合処置
などが状況に応じて必要になります。
かさぶたの範囲が狭く見えても、皮膚の下の感染や炎症が広がっている可能性があるため、見た目だけで判断せず、慎重な評価が必要です。
細菌や真菌の感染によるかさぶたの治療
皮膚の感染症が原因でかさぶたができている場合は原因に応じて
- 抗生剤
- 抗真菌薬
- かゆみ止め
などを用いた薬による治療を行います。
さらに治療効果を高め、再発を防ぐためにスキンケアも重要です。
保湿や洗浄を日常的に行うことで皮膚バリア機能を保ち、皮膚環境を整えることができます。
アレルギーによるかさぶたの治療
アレルギーの治療は原因となるアレルゲンの除去やかゆみの抑制です。
食物アレルギーの場合はドックフードやおやつをアレルギー対応のものに変更します。
花粉やハウスダストなどのアレルギーの場合は散歩コースの変更や部屋の掃除が必要になることもあります。
しかし、アレルゲンの完全除去は難しいため、かゆみ止めの薬を服用することでかゆみを軽減することが多いです。
まとめ
かさぶたは軽い皮膚トラブルに思われがちですが、背景に皮膚疾患が隠れていることもあります。
皮膚疾患が背景にある場合はかゆみによってさらに皮膚を傷つけてしまうこともあるため、早期の治療が重要です。
当院では皮膚疾患の治療を幅広く行っております。
今回の記事の内容に心当たりのある方は、ぜひ当院までご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 犬のかさぶたはすべて放置しても問題ないのでしょうか?
A1. 犬のかさぶたは、単純な外傷が原因であれば自然に治ることもあります。
ただし、同じ場所に繰り返しできる場合や長期間治らない場合は、皮膚病が隠れている可能性があるため受診が必要です。
Q2. 犬のかさぶたにかゆみがない場合でも受診した方がよいですか?
A2. 犬のかさぶたは、かゆみが目立たなくても膿皮症や腫瘍などが原因になっていることがあります。
見た目だけで判断せず、治りが悪い場合や範囲が広がる場合は早めに動物病院で診察を受けることが大切です。
Q3. 犬のかさぶたができたときに自宅で消毒しても大丈夫ですか?
A3. 犬のかさぶたは、誤った消毒によってかえって皮膚を傷めてしまうことがあります。
原因によって治療が異なるため、自己処置を続ける前に一度は獣医師に相談することが安心です。
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≪10月の診療について≫
2025年10月06日カテゴリ|お知らせ
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2025年09月29日カテゴリ|お知らせ
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ポメラニアンの脱毛について|ふわふわの毛並みに異変を感じたら病気のサイン?
2025年09月28日カテゴリ|コラム
ポメラニアンの脱毛について|ふわふわの毛並みに異変を感じたら病気のサイン?
「最近ポメラニアンの毛が薄くなってきた」
「お尻や腰のあたりだけ毛が抜けて地肌が見える」
「全体的に毛量が減って、ふわふわ感がなくなった気がする」
そんな症状に気づいた飼い主様はいらっしゃいませんか?
ポメラニアンはふわふわの豊かな被毛が特徴の犬種ですが、脱毛が起こることも珍しくありません。
原因や対応を知っておくことで、早期に対処することができます。
今回は、ポメラニアンに多い脱毛の原因や治療法、注意点について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、ポメラニアンの脱毛に対する知見を深めてください。
ポメラニアンの脱毛でよくある病気とは?
ポメラニアンの飼い主様は「ポメはげ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
その名の通りポメラニアンがはげ、つまり脱毛してしまう状態です。
ポメラニアンに脱毛が見られる場合には、いくつか考えられる病気があります。
毛周期停止(ポメラニアン脱毛症)
ポメラニアンに特に多いとされているのが、「毛周期停止」と呼ばれる状態です。
「脱毛症X」「アロペシアX」とも呼ばれ、成犬になってから被毛の一部が薄くなり、その後に全身へ広がっていくのが特徴です。
Xという名前がついている通り、原因は明らかになっていません。
ホルモンバランスや毛周期の乱れが関係しているという説もありますが、はっきりとしたことはわかっていない病気です。
毛周期停止にかゆみや赤みといった皮膚炎症状はなく、見た目以外の不調は現れにくい傾向にあります。
しかし、ポメラニアンの美しい被毛が失われることで飼い主様にとって大きな悩みとなります。
内分泌疾患(ホルモンの病気)
ポメラニアンの脱毛の原因にはホルモンの病気が隠れていることがあります。
- 甲状腺機能低下症
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
といった病気が原因になります。
これらの病気では、脱毛とともに
- 元気がない
- 太りやすい
- 皮膚が乾燥する
などの症状を伴うことが多いのが特徴です。
アレルギーや皮膚炎
ポメラニアンの脱毛に加えてかゆみを伴う場合は、
- 食物アレルギー
- マラセチア性皮膚炎
- ノミアレルギー
なども考慮する必要があります。
脱毛の周囲に赤みやフケ、かさぶたがある場合は、炎症性の皮膚疾患が疑われます。
ストレスや栄養の問題
ストレスや偏った栄養バランスも被毛の健康に影響します。
過度なシャンプーや急な環境の変化が引き金になることもあるため注意が必要です。
脱毛の診断には何をするの?
ポメラニアンの脱毛の原因は多岐にわたります。
動物病院では原因を特定するために次のような検査を行います。
- 皮膚の状態の観察(フケ、赤み、炎症の有無など)
- 皮膚検査(マラセチア、細菌、ダニの有無)
- 血液検査(ホルモンの病気のチェック)
- ホルモン刺激試験(必要に応じて)
- 経過観察や画像記録(脱毛の進行具合を確認)
病歴や生活環境の聞き取りも重要な診断材料になるため、診察で詳しく話せるようにメモなどをとっていくと良いでしょう。
治療方法は原因によって異なります
脱毛の原因によって治療は大きく変わります。
毛周期停止(アロペシアX)
毛周期停止が原因の場合には、内服薬やホルモンバランスの調整剤、去勢手術などが行われることがあります。
ホルモンバランスの調整剤は副作用が出ることもあるため、注意が必要です。
副作用の少ない治療方法としてサプリメントによる治療もあります。
サプリメントは効果に個体差があり、治療に時間がかかることがありますが、比較的安全に治療を続けることが可能です。
どの治療方法を選択するかはよく獣医師と相談しましょう。
治療だけではなく、ご家庭でのケアとして皮膚の保湿や刺激を避けるスキンケアも効果があることがあります。
内分泌疾患
内分泌疾患が原因の場合には、甲状腺ホルモン剤や副腎機能を抑える薬の投与が必要になります。
治療には継続的な内服と定期的な血液検査が重要です。
皮膚炎やアレルギー
原因に応じた抗菌薬や抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、食事療法などを組み合わせて治療を行います。
栄養・ストレスが原因の場合
栄養やストレスが原因の場合は、フードの見直しや生活環境の改善を行います。
サプリメントで皮膚の健康をサポートするケースもあります。
ご家庭でできるケアと注意点
ポメラニアンが脱毛している時に、ご家庭でできることはあるのでしょうか?
例えば、
- 日常的に被毛の状態を観察する
- ブラッシングで毛玉や皮膚トラブルを予防する
- シャンプーのしすぎに注意し、低刺激の製品を選ぶ
- 異常に気づいたら早めに動物病院を受診する
といったケアが重要になります。
特に毛周期停止は長期間にわたって経過をみることが多いです。
脱毛がある場合には、見た目だけで自己判断せず、専門的な評価を受けることが重要です。
まとめ
ポメラニアンの脱毛は、見た目の問題だけでなく、内科的な病気のサインであることもあります。
毛が薄くなった、毛並みが悪くなったなどの変化を感じたら、早めに動物病院で相談しましょう。
当院では、皮膚の専門的な診療を行っており、ポメラニアン特有の脱毛にも対応しています。
どんな小さな変化でも、気になることがあればお気軽にご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. ポメラニアンの脱毛は自然に元に戻ることがありますか?
A1. ポメラニアンの脱毛は、原因によっては自然に回復することもあります。
しかし、毛周期停止やホルモン疾患が関係している場合は自然に治らないことが多いです。
見た目だけで判断せず、動物病院で原因を確認することが大切です。
Q2. ポメラニアンの脱毛には必ず治療が必要ですか?
A2. ポメラニアンの脱毛は、病気が背景にある場合には治療が必要になります。
毛周期停止や内分泌疾患、皮膚炎など原因はさまざまで、放置すると進行することもあるため、早めの診断が重要です。
Q3. 脱毛があっても元気なら様子を見ても大丈夫でしょうか?
A3. ポメラニアンは脱毛があっても元気なことが多く、見た目以外の症状が出にくいケースもあります。
ただし、ホルモンの病気などが隠れていることもあるため、「元気そうだから大丈夫」と自己判断せず、一度は受診することをおすすめします。
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