猫の耳血腫とは?|手術が必要になるケースとその対応について詳しく解説
2025年09月21日カテゴリ|コラム
「猫の耳が腫れている」「触ると嫌がる」「急に耳を振るようになった」
このような変化に気づいた飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
猫の耳に起こる異常のひとつに、「耳血腫(じけっしゅ)」があります。
耳血腫は耳介(じかい:耳たぶの部分)に血液がたまることで腫れてしまう病気です。
猫でもときどき見られる耳のトラブルです。
今回は猫の耳血腫について、原因や治療、特に手術が必要になるケースについて詳しくご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、猫の耳の健康管理にお役立てください。
猫の耳血腫とは?
耳血腫は、猫の耳介に存在する血管が破れて出血し、その血液が耳の皮膚と軟骨の間にたまることで起こります。
腫れた部分はやわらかく膨らんでいたり、ゼリー状に感じられることがあります。
原因としては、外耳炎やアレルギーによるかゆみが引き金になることが多いです。
猫が耳を掻いたり頭を強く振ったりすることで、耳の血管が傷つくことで発症します。
また、猫の場合は、外傷や他の猫とのケンカによって耳をぶつけた際に発生することもあります。
耳血腫を放置するとどうなる?
耳血腫は一見すると単なる腫れのように思えるかもしれません。
しかし、放置して自然に治ることはほとんどありません。
放置することで血液が固まり、「カリフラワーイヤー」と言われる耳の変形を引き起こす原因になります。
また、内部で炎症が持続することで痛みや不快感が続き、猫にとって大きなストレスになる可能性もあります。
そのため、耳血腫を見つけた場合はできるだけ早く動物病院を受診することが大切です。
耳血腫の治療方法
猫の耳血腫の治療にはいくつかの方法があります。
状態に応じて適切な処置が必要です。
耳血腫が軽度の場合や、再発リスクが低いと判断されるケースでは、たまった血液を注射器で抜く穿刺(せんし)治療が行われることがあります。
しかし、穿刺治療だけでは再発することも多くあります。
炎症や出血が続く場合には、より根本的な治療が必要です。
耳血腫に対する手術とは?
再発を繰り返す耳血腫や、出血・腫れが広範囲に及んでいる場合は、「外科手術」が選択されることがあります。
手術では、耳介にたまった血液をしっかりと排出し、皮膚と軟骨が再びぴったりとくっつくように縫合する方法をとります。
一般的には、
- 耳介に数ヶ所の小さな切開を加える
- 耳介を洗浄・排液する
- 耳が再癒着するように数本の縫合糸で固定する
という流れで処置を行います。
場合によっては耳からの排液を流し続けるためにドレーンを設置することもあります。
手術は全身麻酔下で行うため、猫の体調や年齢、持病の有無に応じて慎重な術前評価が必要です。
手術後のケアと注意点
耳血腫の手術後は、縫合部分がしっかりと安定するまでの間、エリザベスカラーの装着や通院による経過観察が必要になります。
また、傷口を清潔に保ち、外耳炎や皮膚病の再発がないようにするためのケアも重要です。
術後に耳がやや変形することもありますが、適切な処置とケアによって見た目の変化を最小限に抑えることができます。
再発防止のためには、耳血腫の原因となる外耳炎やアレルギー疾患の管理も同時に行うことが重要です。
特に慢性的に耳を掻く癖がある猫や、アレルギー体質のある猫では、定期的な耳のチェックやスキンケアが推奨されます。
猫の外飼いのリスクも
猫は外で飼っているとケンカや事故によるケガのリスクが増えてしまいます。
耳をケガしたりぶつけたりすることは耳血腫の原因にもつながります。
猫を飼う際はできるだけ室内で飼育する方が、耳血腫になるリスクは下げられるでしょう。
もちろん、室内で飼っていてもアレルギーなどで耳血腫を引き起こすことはあります。
室内で飼っている方が、猫の耳の変化にも気づきやすいというメリットもありますね。
まとめ
猫の耳血腫は、早期に対応することで猫の痛みやストレスを減らし、耳の変形を防ぐことができます。
穿刺だけでは再発するケースも多いため、手術が必要になることも少なくありません。
当院では、猫の耳血腫に対する外科手術にも対応しており、術前の評価から術後のケアまで丁寧にサポートしています。
「耳が腫れている」「耳を気にしている」など、少しでも気になるサインがあれば、お早めにご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
松井山手動物病院
犬の耳血腫はどんな病気?|手術が必要になるケースを含めて獣医師が解説
2025年09月14日カテゴリ|コラム
犬の耳血腫はどんな病気?|手術が必要になるケースを含めて獣医師が解説
「最近、犬の耳が腫れてきた」
「耳をよく振ったり、かゆがったりしている」
「腫れた耳を触るとぷよぷよしているけど、痛がる様子はない」
このような症状がある場合、「耳血腫(じけっしゅ)」という病気の可能性があります。
耳血腫は、耳介(耳たぶのような部分)に血液や体液がたまり、腫れあがる病気です。
放っておくと耳の変形や慢性炎症につながることもあります。
今回は犬の耳血腫について、原因や治療法、特に手術の必要性について詳しくご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の耳の病気について知見を深めてください。
犬の耳血腫とは?
犬の耳血腫とは、耳の皮膚の内側にある血管が破れて出血し、血液が皮膚と軟骨の間にたまってしまう状態です。
外見上は、耳がぷっくりと腫れ、触るとふくらんだ水風船のように感じられることが多いです。
耳血腫は特に
- 垂れ耳の犬種
- アレルギー体質の犬
- 耳のかゆみや炎症が慢性的にある犬
に起こりやすいとされています。
耳血腫の原因
耳血腫の多くは、耳を激しく振ったりかいたりすることで起こるとされています。
耳介に物理的なダメージが加わり、血管が破れることで耳血腫につながるのです。
犬が耳を振ったりかいたりする主な原因には次のようなものがあります。
- 外耳炎
- アレルギー性皮膚炎
- マラセチアや細菌感染
- ノミ・ダニなどの寄生虫
- 外傷
耳血腫の原因には、耳の中の病気が背景にあることが多いです。
耳血腫ができた場合は原因を突き止めて根本的に治療することが大切です。
耳血腫の治療法について
耳血腫の治療には大きく分けて「内科的治療」と「外科的治療(手術)」の2つがあります。
軽度の場合は、針で中の血液を抜き、抗炎症薬を注射するなどの内科的な処置で様子を見ることがあります。
ただし、血液が再度たまりやすく、抜いても再発してしまったり、何度も同じ処置を繰り返さなければならないケースも少なくありません。
繰り返し針で血を抜いていると
- 麻酔や鎮痛のストレスが処置の度にかかる
- 針穴から感染を招くことがある
- 炎症が長引くと耳の形が変形する
といったデメリットが起こりやすくなります。
耳血腫が再発を繰り返す場合や、出血量が多く耳が重度に腫れている場合には、外科的に耳を切開してたまった血液や血餅を取り除く「耳血腫整復術」が検討されます。
手術の流れと術後の注意点
耳血腫の手術では、耳介に切開を入れて中の血液を完全に排出し、軟骨と皮膚が再度癒着するように縫合する治療が行われます。
これにより再発を防ぐとともに、耳の変形を最小限に抑えることができます。
術後は以下のようなケアが必要です。
- 抗生剤や消炎剤の投与
- エリザベスカラーの装着
- 耳の包帯固定
- 定期的な通院と処置
- 原因となった外耳炎などの治療の継続
術後2〜3週間ほどで抜糸が行われるのが一般的です。
耳は犬がストレスを感じやすい部位でもあるため、術後の管理は飼い主様と動物病院が連携して進めることが重要です。
放置するとどうなる?
耳血腫を外科治療せずに放置してしまうと、耳がしぼんだり、しわしわになったりして「カリフラワー耳」と呼ばれる特徴的な耳の変形を起こすことがあります。
また、たまった血液が吸収される過程で慢性的な炎症を引き起こし、痛みやかゆみが長期化することもあります。
見た目の問題だけでなく、耳の機能に悪影響を与えるリスクもあるため、早めの治療がおすすめです。
まとめ
犬の耳血腫は比較的よくみられる病気ですが、再発や変形を防ぐためには適切な治療が必要です。
初期には内科的治療が行われることもありますが、繰り返す場合や重度の場合は手術が最も確実な治療法です。
耳の腫れや異変に気づいた際は、できるだけ早く動物病院を受診し、適切な対応を受けましょう。
当院では、耳血腫の手術を含めた耳のトラブルにも対応しています。
「最近耳の様子がおかしい」「何度も耳血腫を繰り返している」といった場合には、ぜひ一度ご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
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フレンチブルドッグの皮膚病について|かゆみ・赤みの原因を知っていますか?
2025年09月07日カテゴリ|コラム
フレンチブルドッグの皮膚病について|かゆみ・赤みの原因を知っていますか?
フレンチブルドッグの皮膚が赤くなってかゆがっていたり、フケが多くなったりしたことはありませんか?
フレンチブルドッグはその愛らしい見た目とは裏腹に、皮膚のトラブルが起きやすい犬種として知られています。
今回は、フレンチブルドッグに多い皮膚病とその原因・治療法についてわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、皮膚トラブルの予防や早期対処にお役立てください。
フレンチブルドッグはなぜ皮膚病が多いの?
フレンチブルドッグは短毛でしっかりした体格の犬種です。
皮膚が非常にデリケートな犬でもあります。
皮膚病が多い理由として、以下のような体質や特徴があります。
- 皮膚が薄くて敏感
- 皮脂の分泌が多い
- 顔や体にシワが多く、通気性が悪い
- アレルギー体質の個体が多い
これらの要素が重なることで、ちょっとした刺激や湿気によって皮膚に炎症が起こりやすくなります。
よくある皮膚病とその特徴
フレンチブルドッグに多い皮膚病には、次のようなものがあります。
犬アトピー性皮膚炎
犬アトピー性皮膚炎はアレルギーの一種で、体質的に皮膚に炎症を起こしやすい状態です。
フレンチブルドッグでは若い頃から発症することが多く、かゆみが主な症状です。
顔・耳・脇・足先などをしきりに掻いたり舐めたりする行動が見られます。
マラセチア性皮膚炎
マラセチア性皮膚炎は皮膚に常在するマラセチアという酵母菌による炎症です。
マラセチアが異常に増殖して、かゆみ・赤み・脂っぽい臭いを伴う皮膚炎を起こします。
皮脂の分泌が多いフレンチブルドッグはマラセチア性皮膚炎を発症しやすくなります。
フレンチブルドッグの耳やシワの間、脇の下などがよく影響を受けやすい箇所です。
細菌性皮膚炎(膿皮症)
細菌性皮膚炎は皮膚に小さなブツブツができたり、赤くなったり、かさぶたになったりする病気です。
かゆみのある部分をかき壊すことで細菌が繁殖し、さらに悪化することもあります。
細菌性皮膚炎は繰り返す傾向があるため、体質に応じたスキンケアが必要です。
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎はノミに刺されることによる強いかゆみと炎症が起きる病気です。
しっぽの付け根や背中、腰回りに強いかゆみが出るのが特徴です。
ノミの寄生が見えなくても、刺された痕跡だけでアレルギー反応を起こす場合があります。
食物アレルギー
食物アレルギーは、特定の食材に対してアレルギー反応を起こす病気です。
皮膚炎や下痢を伴うことがあります。毎日食べているごはんが原因となるため、気づかれにくいケースもあります。
診断と治療の流れ
フレンチブルドッグの皮膚病は、原因が1つとは限らないことが多いため、正確な診断がとても大切です。
診断には以下のような検査が行われます。
- 皮膚検査(顕微鏡・テープ検査)
- 血液検査
- アレルギー検査
治療法は原因によって異なりますが、次のような方法を組み合わせて行います。
- 内服薬(抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、抗真菌薬など)
- 外用薬(塗り薬、シャンプー)
- 食事療法(アレルゲン除去食など)
- スキンケア(定期的なシャンプーや保湿)
- 生活環境の改善(清潔な寝床、湿度管理など)
フレンチブルドッグの皮膚の病気は慢性化しやすいため、症状が軽くなった後も継続したケアが必要になります。
飼い主様が気をつけたいポイント
ご家庭で飼い主様がフレンチブルドッグの皮膚に対して気をつけたいポイントを紹介しましょう。
- かゆみや脱毛を見逃さない
- 定期的にシワや皮膚をチェックする
- 強い香りや刺激のあるシャンプーは避ける
- 皮膚の状態が悪化する前に受診する
フレンチブルドッグの皮膚の状態は見た目の変化が出やすいため、早めに気づくことができます。
犬の皮膚がいつもと違うと思ったら、無理に様子を見ずに早めの相談を心がけましょう。
まとめ
フレンチブルドッグは皮膚トラブルが起きやすい犬種です。
原因をしっかり突き止めて、適切な治療やケアを行えば改善が期待できます。
繰り返すかゆみや赤み、被毛の異常などが見られたら、早めに動物病院で診察を受けましょう。
当院では、皮膚病の診療に力を入れています。
皮膚のかゆみや脱毛など、気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。
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