

犬のかゆみ、原因はストレスかも?|犬のストレスによるかゆみについて解説
2025年10月14日カテゴリ|コラム
犬のかゆみ、原因はストレスかも?|犬のストレスによるかゆみについて解説
犬のかゆみの原因のひとつにストレスがあるということをご存知ですか?
犬の皮膚のかゆみについてお悩みのあるご家族は非常に多いです。
愛犬がかゆみに耐えている様子や、かゆみにより皮膚の状態が悪くなっていく様子を見るのはご家族にとっては悲しいことですよね。
今回は、犬のストレスによるかゆみについて解説します。
ぜひ最後まで読んでいただき、愛犬の皮膚の健康だけでなく、生活の質の改善を目指しましょう。
犬のストレスによるかゆみの特徴
犬がストレス等により過剰に同じ部位をなめることで発症する皮膚炎を、舐性皮膚炎と言います。
舐性皮膚炎というのは、漢字の通り「なめる」ことにより発症する皮膚炎です。
犬はストレスを感じると、様々な異常行動が出ることがあります。
その異常行動のなかに「皮膚の同じ部位をなめ続ける」というものがあります。
しつこく舐め続けることで、その部分の被毛が薄くなり、次第に皮膚がえぐれていくことでできた皮膚炎が舐性皮膚炎です。
舐性皮膚炎になってしまうと、かゆみや痛みを伴うようになるためさらに皮膚をなめるようになるという悪循環に陥ってしまいます。
これが犬のストレスによるかゆみの正体です。
犬の舐性皮膚炎は、
- 足先の肉球と反対側の皮膚から発症する
- 舐める行動にきっかけやパターンがある
- 単一の病変である
ことが多いというのが特徴の皮膚炎です。
舐性皮膚炎は軽度であれば被毛が薄くなったり、皮膚が赤くなります。
重症になってくると、指の間の皮膚がズルむけて赤くじゅくじゅくしたり、皮膚の状態が悪くなることで感染症を併発して膿が出たりすることもあります。
舐性皮膚炎は5歳以上の雄犬での発症が多く、ジャーマン・シェパードやドーベルマンなどの大型犬が好発犬種です。
どうしてストレスがかゆみの原因だとわかるの?
犬のかゆみの原因が、ストレスであることを証明するのは非常に困難です。
犬は言葉を話しませんし、ストレスの検査も現段階では信憑性のあるものが確立されていません。
かゆみの原因にストレスが疑われる場合に、最も重要になるのがご家族による観察です。
観察していただきたいポイントとしては
- いつからその部位を舐めるようになったのか
- 何かきっかけがあるのか
- どのようなときに舐めているか
などがあります。
このような情報の中で、皮膚をなめる行動がストレスがかかっているときに集中していたり、ストレスとなる事象がきっかけとなっていることが多ければ、ストレスによるかゆみの可能性が疑われます。
ストレスによる舐性皮膚炎の好発部位である足先は、皮膚に異物が入り込んで発症する皮膚炎やアレルギー性皮膚炎の好発部位です。
異物による皮膚炎やアレルギー性皮膚炎でもかゆみの症状が出るため、皮膚の検査や試験的な治療等も診断に重要な情報となります。
ストレスが原因である場合は、治療が他の病気と大きく異なるため、診断が非常に重要です。
原因がストレスの場合、治療法ってあるの?
ストレスが原因のかゆみで、皮膚の状態がどんどん悪化してしまうような状況は飼い主様としてはなんとか早くぬけだしたいですよね。
犬の場合、「舐めるのをやめなさい」と注意しても、一時的にやめても完全になくなることはほとんどありません。
犬のストレスによるかゆみはどのような治療法があるのでしょうか。
ストレス要因の除去
どのような病気でも原因にストレスが疑われる場合には、根本的な治療はストレスとなり得る要因の除去です。
皮膚をなめる行動が始まったきっかけやパターンがはっきりしている場合には、その状況を変えることが最も効果的です。
犬のストレス要因としては、
- 分離不安症
- 引越しなどの環境変化
- 同居の家族や犬の増減
- 生活リズムの変化
- 騒音やにおい
などが一般的です。
このような要因の中で当てはまるものがあれば、環境改善などの対策を行うことでなめる行動を減らすことができるかもしれません。
精神安定剤による治療
犬のストレス要因を除去することができない場合や、それだけでは解決しない場合は、行動改善薬として不安を落ち着かせるサプリメントや人間の抗うつ剤を使うこともあります。
行動改善薬は常用することも可能ですが、一時的な投薬でも効果が期待できるものもあります。
原因としてストレスが考えられるけど、なめる行動をするのが一時的で、かつどのような状況で犬がストレスを感じるかわかっている場合などですね。
例えば、騒音に敏感な犬の場合は近所でお祭りや工事がある日に、旅行や引っ越しなどで環境変化がある場合はその前後に、投薬すると効果的な場合もあります。
併発疾患の治療
かゆみがある場合、皮膚の状態によっては感染症を併発している場合も多いです。
皮膚の状態が悪くなることで、皮膚のバリア機能が低下するため、感染症を続発してしまうことが珍しくありません。
その場合は、まずは感染症の治療を行う必要があります。
ストレス要因の除去や投薬治療の効果の判定のためにも、続発している感染症の治療を徹底的に行うことが重要です。
物理的な皮膚の保護
ストレスによるかゆみで、一度皮膚の状態が悪くなってしまった場合には、皮膚の物理的な保護も有用です。
エリザベスカラーや包帯などが装着可能な場合は、犬がこれ以上なめられなくする効果があります。
物理的な保護は様々な選択肢がありますが、犬の性格や皮膚の状態によっては逆効果になることもあるので、獣医師に必ず相談しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はストレスが原因の犬のかゆみについて解説しました。
ストレスが原因の病気は、ご相談いただく犬やご家族によって、ワンパターンの治療では改善しないため、診断や治療がとても難しい分野のひとつです。
診断にも治療にも、しっかりご家族と相談し協力していただくことが非常に重要になります。
当院は皮膚科に力を入れており、このような難しい皮膚炎の治療についてもご家族と二人三脚で行なっていきます。
犬のなかなか改善しない皮膚炎やストレスによる皮膚炎の改善策でお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
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