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2025年06月26日カテゴリ|お知らせ


犬の肺高血圧症について|疲れやすい原因は心臓の病気かも?
2025年06月21日カテゴリ|コラム
犬の肺高血圧症について|疲れやすい原因は心臓の病気かも?
犬の肺高血圧症は高齢の犬でよく見られる肺動脈と呼ばれる血管の病気です。
「最近犬が疲れやすい」
「犬の呼吸が苦しそう」
「犬が気を失ってしまうことがある」
このようなお悩みをお持ちの方はいませんか?
もしかしたら肺高血圧症になっているかもしれません。
今回は犬の肺高血圧症について解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の肺高血圧症についての理解を深めましょう。
犬の肺高血圧症とは?
犬の肺高血圧症とは肺動脈と呼ばれる血管の血圧が高くなることを指します。
肺動脈とは心臓の4つの部屋のうち右心室から肺に血液を送る血管のことです。
肺高血圧症は症状の名前ではなく、肺動脈の血圧が高くなる病態のことを言います。
肺高血圧症の原因はさまざまですが、高齢の犬ほどなりやすいのが特徴です。
肺高血圧症の症状とは?
肺高血圧症にかかるとどのような症状を示すのでしょうか。
犬の肺高血圧症は初期症状として
- 息切れする
- 食欲がなくなる
- 疲れやすくなる
- 咳が出る
などが出ます。
悪化してくると
- 呼吸困難
- 運動後や興奮時に気を失う
- けいれんを起こす
- チアノーゼ
などの症状がみられることがあり、最悪の場合は突然死につながってしまいます。
犬の肺高血圧症の原因は?
犬の肺高血圧症には、呼吸器や心臓の疾患など様々な原因があります。
肺高血圧症は大きく分けると原因によって6つの分類があります。
- 肺動脈性肺高血圧症
- 左心疾患によるもの
- 呼吸器疾患によるもの
- 肺血栓塞栓症によるもの
- フィラリア症によるもの
- 原因不明
の6つです。
1つずつ解説していきましょう。
肺動脈性肺高血圧症
肺動脈性肺高血圧症とは、肺動脈の血管の中が狭くなったり塞がってしまったりすることで血圧があがることを言います。
先天性の病気である動脈管開存症や心室中隔欠損といった心臓の病気が原因となることが多いです。
先天性の心疾患によって一時的に肺動脈に流れる血液の量が増えて、肺動脈が狭くなってしまうことが原因です。
先天性の心疾患を指摘されたことがある方は、注意してください。
また、小さい時からしっかり健康診断を受けることが重要です。
左心疾患によるもの
犬の肺高血圧症の原因としては一番多いのが左心疾患によるものです。
犬の肺高血圧症で多い左心疾患は、僧帽弁閉鎖不全症です。
僧帽弁という心臓で血流を送る役割をしている弁によって肺に血液がたまり、心臓から肺へ血液が送りにくくなることが原因で起こります。
高齢の犬は、僧帽弁閉鎖不全症を発症することがあります。
肺高血圧症になっていないか注意が必要ですね。
呼吸器疾患によるもの
呼吸器疾患による肺高血圧症は、肺に酸素が取り込みづらくなることで起こります。
酸素が取り込みづらくなることで、血液中の酸素が少なくなってしまうのが原因です。
血液中の酸素が少なくなると、肺動脈が収縮して肺高血圧症になってしまいます。
犬ではウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアによく起こる特発性肺線維症という病気が肺高血圧症を引き起こしやすいです。
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア通称ウエスティを飼っているご家族の方は、注意しましょう。
肺血栓塞栓症によるもの
肺血栓塞栓症による肺高血圧症は、肺の血管が詰まってしまうことで、肺に血液が流れづらくなることで起こります。
フィラリア症によるもの
フィラリア症による肺高血圧症は肺血栓塞栓症と同じように、血管にフィラリアという寄生虫が詰まってしまうことで起こります。
フィラリア症の予防は毎年行っていると思いますが、肺高血圧症の予防のためでもあります。
必ず病院で検査をしてもらってしっかり予防に努めましょう。
原因不明
犬の肺高血圧症は原因がはっきりとはわからない場合があります。
原因がわからなくても肺高血圧症が起こっているときは、治療をしなければなりません。
獣医師としっかり相談しましょう。
肺高血圧症はどうやって診断するの?
犬の肺高血圧症は
- 身体検査
- レントゲン検査
- 心臓のエコー検査
- 血液検査
- 血中酸素濃度の測定
などで肺動脈の拡張や心臓の血流の逆流を見ながら総合的に判断します。
肺高血圧症は重度になると興奮で失神してしまうことがあります。
検査に関しては獣医師と相談しながら行っていきましょう。
犬の肺高血圧症の治療は?
犬の肺高血圧症の治療は、肺高血圧症を引き起こす原因疾患の治療を優先して行う必要があります。
原因となっている心疾患や呼吸器疾患に対して、治療を強化することが肺高血圧症の治療に繋がります。
そのため肺高血圧症の治療では、検査で原因を調べることが大切になりますね。
原因疾患の治療に加えて、肺動脈の血圧を低下させ症状を緩和させる治療も行います。
肺動脈の血圧を低下させるには、肺の血管の通りをよくする肺血管拡張薬などの内服薬を使用します。
まとめ
犬の肺高血圧症は重症度によっては命に関わることがあります。
最近犬が疲れやすいなど、気になることがあれば動物病院に早めに相談しましょう。
当院では心臓の治療に力を入れています。
犬の肺高血圧症は心疾患が原因となることが多い病気です。
心臓のエコー検査やレントゲン検査などでしっかりと原因を調べることが重要です。
肺高血圧症が疑われる場合や、思い当たる症状がある場合は、ぜひ当院へご来院ください。
京田辺・八幡・枚方・長尾の動物病院
松井山手動物病院


シーズーでよくみられる皮膚病について|皮膚がべたつく理由とは?
2025年06月14日カテゴリ|コラム
シーズーでよくみられる皮膚病について|皮膚がべたつく理由とは?
シーズーは、丸く愛らしいお顔とつやつやの長毛が美しく人気の犬種です。
穏やかで人懐こい性格のため、飼いやすい点も魅力的ですね。
一方で、皮膚のべたつきや脂っぽいにおいにお悩みの飼い主さんも多いでしょう。
今回は、シーズーになぜ皮膚病が多いのか、よくある皮膚病と対策について解説します。
シーズーに皮膚病が多い理由
シーズーは元々、古代のチベット地方で生まれて中国に渡り、中国宮廷で神聖な存在として大切にされていました。
シーズーの出身であるチベット地方は寒く乾燥した気候の地域です。
そのため、体の熱や水分を逃さないように、被毛は密で長く、皮膚は皮脂を多く分泌する性質をもっています。
チベットと比較して高温多湿の日本においては、密な毛により汚れや湿気がたまりやすく、皮脂が過剰になります。
このような生まれつきの皮膚の性質から、シーズーは皮膚病になりやすいのです。
シーズーで多い皮膚病
シーズーは、あらゆる犬種の中でも皮膚病が多い犬種です。
特に多い皮膚病としては次のものがあります。
犬アトピー性皮膚炎
シーズーでは、遺伝的に犬アトピー性皮膚炎が多く発症します。
犬アトピー性皮膚炎は、主にアレルギーにより皮膚に炎症が起きて痒みが生じる病気です。
アレルギーの他にも、皮膚のバリア機能の低下や、常在菌のバランスの変化など、複数の要因が絡み合って痒みの症状が出ます。
1〜3歳頃の若い犬での発症が多いですが、高齢で発症する場合もあり、歳を追うごとに悪化する傾向があります。
治る病気ではなく、痒み止めの薬やスキンケアなどで痒みが出ないように付き合っていきます。
脂漏症
脂漏症とは、ターンオーバー(皮膚の細胞の生まれ変わり)のサイクルが乱れ、皮脂が過剰になりフケやべたつきが出る病気です。
シーズーは元々皮脂の多い犬種であるため、脂漏症になりやすいです。
生まれつきの体質以外にも、犬アトピー性皮膚炎やホルモン性の病気など、他の原因によって脂漏症になる場合もあります。
シーズーの脂漏症では、皮膚のべたつきと独特の脂っぽいにおい、痒みや赤みがみられます。
炎症が慢性化すると皮膚が分厚くなり、黒く色素沈着を起こします。
脇の下や内股、顔のしわなど、擦れる部分に症状が出やすいです。
マラセチアや細菌の増殖を伴いやすく、症状が更に悪化します。
マラセチア皮膚炎
マラセチアとは皮膚にいる真菌の1種です。
常在菌のため健康な犬の皮膚にもいますが、何らかの原因で増えすぎてしまうことで皮膚炎を起こします。
マラセチアは皮脂を好むため、皮脂の多いシーズーではマラセチア皮膚炎になりやすいです。
犬アトピー性皮膚炎の犬もマラセチア皮膚炎になりやすく、またマラセチア皮膚炎によってアトピーの症状も悪くなります。
シーズーの皮膚病への対策
シーズーの皮膚病を予防するためには、皮脂を抑えることが大切です。
犬アトピー性皮膚炎もマラセチア皮膚炎も、皮脂が多いことで悪化しやすくなります。
シーズーの皮膚病のケアとしてできることをご紹介します。
シャンプー
脱脂効果のあるシャンプーを行うことで、脂漏症や皮脂を一因として発症する皮膚病を抑えることができます。
ただし、皮膚のバリア機能が低下している場合には、洗浄力の強いシャンプーにより逆に皮膚の状態が悪化してしまうため注意が必要です。
マラセチアの増殖がある場合には抗真菌剤が配合されたシャンプーを使うことも有効です。
保湿
皮膚がべたべたしているのに保湿も必要なの?と疑問に思われるかもしれません。
皮脂が過剰になる原因として皮膚の乾燥やバリア機能の低下が考えられるため、改善のために保湿をしてあげたほうが良いでしょう。
皮脂を落とすためのシャンプー剤は洗浄力が強いため、洗浄後には必ず保湿剤も併用することをおすすめします。
犬アトピー性皮膚炎のケアとしても保湿は有効です。
食事やサプリメント
栄養バランスが偏ったフードによって皮脂が増えることもあるため、栄養の整ったフードを選ぶよう心がけましょう。
皮膚に良い成分を含むフードやサプリメントが効果的なこともあります。
温度湿度の管理
どの犬種でも夏場は皮膚病にかかりやすいですが、シーズーは特に高温多湿の環境に弱いです。
エアコンや除湿機などを使ってなるべく快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。
まとめ
シーズーは皮膚病が多い犬種です。
シーズーの皮膚病は体質によるところが大きいですが、皮膚の状態に合う治療やスキンケアを行うことで症状を改善することができます。
個々の犬やご家庭の状況に合わせて、続けていけるケアを考えていきましょう。
シーズーの皮膚の痒みやべたつきにお悩みの飼い主様は、ぜひ当院にてご相談ください。
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柴犬でよくみられる皮膚病について解説|犬アトピー性皮膚炎の代表犬種
2025年06月07日カテゴリ|コラム
柴犬でよくみられる皮膚病について解説|犬アトピー性皮膚炎の代表犬種
柴犬は、犬らしいしっかりとした体格をもつ反面、愛らしい表情や仕草でとても人気の犬種ですよね。
実は、皮膚の痒みに悩む柴犬が多いことはご存知でしょうか。
柴犬は特にアレルギーによる痒みを起こしやすい犬種なのです。
今回は柴犬でよくみられる皮膚病と、皮膚病のケアのためにできることについて解説します。
柴犬の特徴
柴犬は、飼い主様への忠誠心が強く勇敢で賢い性格が魅力です。
一方で、警戒心が強くてデリケートな性格であることが多く、他の犬や知らない人を威嚇し、攻撃的になってしまう犬もいます。
匂いや食べ物が変わるなど、環境の変化に敏感なことも多いです。
被毛はダブルコートで、オーバーコート(表面を覆う荒い毛)とアンダーコート(皮膚近くを覆う密な毛)の二重になっています。
季節の変わり目には換毛期となり毛が生え変わるので、大量に毛が抜けます。
柴犬でよくみられる皮膚病
柴犬でよくみられる皮膚病には次のものが挙げられます。
犬アトピー性皮膚炎
柴犬では、遺伝的要因があり犬アトピー性皮膚炎が多く発症するといわれています。
犬アトピー性皮膚炎は、様々な要因により皮膚が炎症を起こして痒みが出る病気です。
アレルギー性の病気といわれていましたが、皮膚のバリア機能の異常や、皮膚の常在細菌の乱れなど、様々な要因が複雑に組み合わさって発症することがわかってきました。
症状は痒みが中心で、舐めたり掻いたりすることで皮膚の赤みや薄毛がみられます。
高温多湿になる夏場に痒みが強くなるなど、季節性がみられることが多いです。
多くは1〜3歳の若齢で発症しますが、高齢で発症することもあり、年々悪化する傾向にあります。
治る病気ではなく、痒みに合わせたケアを行ってなるべく痒みが出ないように治療していきます。
食物アレルギー
食物アレルギーでは、フードの原材料となる小麦や肉類などに対してアレルギー反応を起こします。
どの年齢でも発症しますが、特に1歳まで、または7歳を超えてからの発症が多いです。
痒みの出方が犬アトピー性皮膚炎と非常によく似ており、症状だけでは区別できません。
時間をかけて治療や食事の変更を試していくことで、痒みと食べ物の関連があるかを調べます。
原因となる食材がわかれば、その食材を除いた食事を与えることで痒みを改善できます。
アトピー性皮膚炎と併発することもよくあります。
マラセチア皮膚炎
マラセチアとは、犬の皮膚に生息する真菌の1種です。
常在菌であり健康な皮膚にも存在していますが、何らかのきっかけで過剰に増殖すると皮膚炎を起こします。
マラセチア皮膚炎を起こすと、皮膚の赤みや肥厚、べたつきやフケなどがみられ、痒みを伴います。
犬アトピー性皮膚炎の犬では皮膚のバリア機能が低下しているため発症しやすく、また犬アトピー性皮膚炎の増悪因子ともなります。
膿皮症
膿皮症は、皮膚で細菌が増えて炎症を起こす疾患です。
特に夏場はあらゆる犬で発症しますが、元々アレルギーによる皮膚の痒みがある犬でも発症しやすくなります。
皮膚の赤みやフケがスポット状にみられ、感染の広がりとともに病変が増えていきます。
柴犬の皮膚病への対策
柴犬が痒がっているときには、次のようなケアを行ってあげましょう。
保湿
特に犬アトピー性皮膚炎の犬では、皮膚のバリア機能が低下していることが多いです。
日常的に保湿を行うことで、皮膚のバリア機能が高まり痒みを軽減することができます。
シャンプー
皮膚の悩みに合わせてシャンプー剤を選び、適切な方法で洗ってあげることが大切です。
アレルギーや皮膚の乾燥による痒みでは、保湿機能のあるシャンプー剤を使いましょう。
マラセチア皮膚炎や膿皮症など感染による皮膚炎を繰り返す場合には、抗菌作用のあるシャンプー剤を定期的に使用することで予防ができます。
シャンプーを行うこと自体が皮膚の刺激や乾燥に繋がるため、ぬるま湯でこすりすぎないように洗い、しっかりと流してあげることが大切です。
ブラッシング
換毛期には毛の生え替わりが気になって、痒がるような仕草をする柴犬もいます。
ブラッシングを行ってあげることで、毛の生え替わりの違和感を軽減し、皮膚が蒸れることによる皮膚トラブルを予防してあげることができます。
食事やサプリメント
食物アレルギーの場合には、原因となるタンパクを含まない食事によって痒みを改善できる可能性があります。
皮膚に良い成分が含まれる食事やサプリメントによっても痒みを軽減できることがあります。
まとめ
柴犬は、皮膚に痒みの症状があることが多い犬種です。
痒みがあると、体を掻いたり舐めたり、頭を振ったりなどの様子がみられます。
痒みの原因や皮膚の状況など、その子に合わせた治療やケアが必要です。
皮膚に症状のある柴犬さんはお気軽に当院までご相談ください。
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犬の副腎皮質機能亢進症について|その皮膚トラブルは病気のサイン?
2025年05月28日カテゴリ|コラム
犬の副腎皮質機能亢進症について|その皮膚トラブルは病気のサイン?
「うちの犬、皮膚を掻いたりもしていないのに毛が抜けてきた。」
「犬の皮膚の治療を受けているけれど、全然良くならない。」
「他に病気が隠れているんじゃないかしら。」
ということでお困りではないですか?
犬に多い内分泌疾患に副腎皮質機能亢進症という病気があり、皮膚にもトラブルが起きることがあります。
今回は犬の副腎皮質機能亢進症について詳しくお話していきます。
特に皮膚トラブルにフォーカスを当てて解説していきますので、犬の皮膚疾患についてお悩みの方は参考にしてみてください。
副腎皮質機能亢進症とは
副腎皮質機能亢進症とは副腎から出るホルモンが出すぎてしまう病気です。
このホルモンはコルチゾールといいます。
通常であれば血圧が低くなりすぎないように保ったり炎症を抑えたりするという役割があり、必要不可欠なホルモンです。
しかしこのホルモンが増えすぎてしまうと、犬の体に様々な不都合が起こってしまいます。
副腎皮質機能亢進症は別名「クッシング症候群」と呼ばれています。
副腎皮質機能亢進症は中高齢の犬で比較的よくみられる内分泌疾患です。
副腎皮質機能亢進症の症状
副腎皮質機能亢進症では
- 多飲多尿(たくさん水を飲み、たくさんおしっこをする)
- 過食
- 腹部膨満
- 皮膚の異常
などの症状がみられます。
多飲多尿
副腎皮質機能亢進症の犬で最もよく見られる症状です。
「最近よくお水を飲むし、おしっこも多くなった気がする。」
と思ったら、1日の飲水量を測ってみてください。
1日に飲む水の量が体重1kg当たり100mlを超えたら注意が必要です。
腹部膨満
コルチゾールには「異化作用」という作用があります。
異化作用とはタンパク質を分解して糖に変換する作用です。
この作用が過剰になると、筋肉中のタンパク質まで分解してしまい、筋力が落ちることが多いです。
そのほかにも肝臓が腫大したり内臓脂肪の増加も起こります。
筋肉が落ち、肝臓が腫れ、内臓脂肪が増えるとお腹が膨れてきます。
皮膚の異常
副腎皮質機能亢進症では多くの症例で皮膚トラブルがみられます。
具体的にはどんな症状がみられるのか、詳しく解説していきます。
皮膚が薄くなる
皮膚が薄くなり、いつもはあまり見えない血管が透けて見えることもあります。
皮膚が薄くなりすぎて、裂けてしまうこともあります。
脱毛
左右対称性の脱毛が特徴的です。
脱毛は徐々に進行し、範囲が広がっていきます。
副腎皮質機能亢進症の脱毛は、かゆみがない点で他の皮膚疾患との鑑別ができます。
皮膚炎が併発しているとかゆみが出ることもあります。
皮膚の石灰化
副腎皮質機能亢進症が進行すると、皮膚にカルシウム成分が沈着して石灰化が起こることもあります。
皮膚が石灰化すると、硬くゴツゴツした触り心地になります。
皮膚の感染症の併発
副腎皮質機能亢進症では免疫力が低下します。
皮膚の免疫力も下がるため皮膚の感染症が併発することもあります。
この場合は皮膚炎に対する治療で完治することは期待できません。
根本の原因である副腎皮質機能亢進症の治療が必要です。
副腎皮質機能亢進症の治療
副腎皮質機能亢進症の治療には
- 内科治療
- 外科治療
- 放射線治療
がありますが一般的には内科的に治療することが多いです。
今回は内科治療について解説していきます。
内科治療
副腎皮質機能亢進症の内科治療では飲み薬によってコルチゾールの過剰分泌を抑えます。
しかしコルチゾールの分泌を抑えすぎるとかえって危険です。
定期的に血液検査をして、適正にコントロールできているかを確認します。
検査結果に応じて薬用量を調整することが必要です。
皮膚炎が起こっている時には原因を特定し、細菌や寄生虫に対する治療を行います。
外耳炎が起きている場合には点耳薬を使うこともありますが、なるべくステロイドが含まれていないものを選択します。
医原性の副腎皮質機能亢進症の場合はステロイドの薬用量を減らすことが治療になりますね。
まとめ
犬の副腎皮質機能亢進症は一度発症してしまうと完治することが難しい病気です。
しかしなるべく早期に発見し、治療を始めることで良好にコントロールすることが可能です。
特に皮膚のトラブルは悪化してしまうと、元の状態に戻すのにはかなり時間がかかってしまいます。
当院は皮膚科診療に力を入れている動物病院です。
皮膚症状から副腎皮質機能亢進症にアプローチして治療を行うことも少なくありません。
副腎皮質機能亢進症の症状に心当たりがありましたら、お気軽に当院にご相談ください。
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