2025年12月22日カテゴリ|お知らせ
犬の皮膚病と甲状腺機能低下症|ホルモン異常が原因で皮膚病に?獣医師が解説
2025年12月21日カテゴリ|コラム
犬の皮膚病と甲状腺機能低下症|ホルモン異常が原因で皮膚病に?獣医師が解説
犬の皮膚病の原因にはアレルギーや感染症などさまざまなものがありますが、ホルモンの異常もその1つということをご存知でしょうか。
「犬の皮膚に左右対称に脱毛している部分がある。」
「近ごろ犬の元気がなく、毛並みもよくない気がする。」
これらの症状は甲状腺機能低下症というホルモンの病気が関連しているかもしれません。
今回は犬の皮膚病と甲状腺機能低下症の関係について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、皮膚病で動物病院受診を受診するときの参考にしていただければ幸いです。
犬の甲状腺機能低下症について
甲状腺機能低下症とは甲状腺の働きが低下してしまう疾患です。
甲状腺機能低下症は中高齢の犬で発症が多いといわれています。
甲状腺とは犬の喉のあたりにある器官で、全身の代謝を上げる甲状腺ホルモンというホルモンを分泌しています。
甲状腺ホルモンは脂肪を燃焼させたり免疫を活性化したりと、体を活気づかせるような働きをするホルモンです。
甲状腺機能低下症によって甲状腺ホルモンが不足すると体全体の活気が無くなり、不調があらわれます。
ここからは甲状腺機能低下症がどのような病気なのかについてさらに詳しく解説します。
犬の甲状腺機能低下症の症状
犬の甲状腺機能低下症では
- 脱毛などの皮膚症状
- 肥満
- 活動性の低下
- 心拍数の低下
- 悲しそうな表情
などの症状が見られます。
甲状腺機能低下症の皮膚症状には
- 左右対称性脱毛
- 尻尾の脱毛
- パピーコート
- 繰り返す膿皮症
- 角化異常
などがあります。
全体的に皮膚の状態が悪くなり、毛質の変化や脱毛がみられるという印象です。
パピーコートとはふさふさでツヤツヤしていた犬の毛が、子犬のように短くパサパサした質感になることです。
犬の甲状腺機能低下症の治療
犬の甲状腺機能低下症の治療では薬を飲むことで不足している甲状腺ホルモンを補います。
薬を飲むと症状は良くなることが多いですが、甲状腺の機能を元に戻すことはできません。
甲状腺機能低下症では薬を長期間飲み続ける必要があります。
しかし薬を飲み続けると甲状腺ホルモンが多くなり過ぎてしまうことがあります。
甲状腺ホルモンが多すぎると副作用があらわれるため、2〜3ヶ月に1回は血液検査をして甲状腺ホルモンが適正な濃度で保たれているかを確認することが必要です。
甲状腺機能低下症と皮膚病の関係
甲状腺機能低下症では脱毛をはじめとする様々な皮膚症状がみられます。
「甲状腺機能低下症と皮膚病はどういう関係があるの?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
ここからは甲状腺機能低下症と皮膚病の関係について詳しく解説いたします。
甲状腺機能低下症によって皮膚病が発症するのは、甲状腺ホルモンの不足により
- 皮膚の免疫力の低下
- 皮膚の新陳代謝の低下
- 毛周期の異常
などがおこるためです。
健康な犬の皮膚には常在菌がいて、皮膚の状態を良好に保ってくれています。
この常在菌は皮膚の免疫力によってバランスが保たれています。
甲状腺機能低下症によって皮膚の免疫力が低下すると、皮膚の常在菌のバランスが崩れ皮膚にとって悪い菌が繁殖しやすくなりますね。
このとき発症するリスクが高まるのは膿皮症という皮膚の感染症です。
甲状腺機能低下症による脱毛では通常痒みを伴いませんが、膿皮症を発症してしまうと炎症がおきて痒みが出ることもあります。
甲状腺機能低下症では皮膚の新陳代謝も低下します。
皮膚の新陳代謝が低下すると皮膚のターンオーバーに異常が起きて、皮膚がカサカサしたりフケが多くなったりしますね。
また甲状腺機能低下症は毛周期という毛の成長周期にも異常をおこします。
健康な犬の毛がふさふさの状態を保っているのは、毛周期が正常に働いているためです。
毛周期が正常に働いていると、毛が生えたり抜けたりを繰り返して常に新しい毛が生えている状態が保たれます。
毛周期に異常が起こると毛の成長が止まって新しい毛が生えてこず、脱毛したままの状態になってしまいます。
このように、甲状腺機能低下症によって免疫力や全身の代謝が下がることで皮膚に異常がおこるということです。
甲状腺機能低下症が原因の皮膚病の治療で重要なこと
甲状腺機能低下症が原因の皮膚病は皮膚病を治療するのではなく、甲状腺機能低下症を治療することが大切です。
見えている皮膚の症状に対する治療だけをしても、同じ症状を繰り返すだけになってしまいます。
つまり犬の甲状腺機能低下症が原因の皮膚病の治療は、経験豊富な獣医師による正しい診断が治療のカギというですね。
繰り返す膿皮症や治らない脱毛症の治療を受けていた犬が、セカンドオピニオンで行った病院で甲状腺機能低下症の診断を受け皮膚の症状が改善したという例もあります。
甲状腺機能低下症による皮膚病の治療は動物病院選びから始まるといっても過言ではありません。
まとめ
いかがでしたか?
甲状腺機能低下症と皮膚病には深い関係があるということがお分かりいただけたでしょうか。
甲状腺機能低下症に気がつかずに皮膚病の治療をしても治療効果は低いままです。
甲状腺機能低下症による皮膚病の治療は経験豊富な獣医師の適切な診断が正しい治療へのカギとなります。
当院では皮膚科診療に力を入れています。
豊富な経験と知識で多くの皮膚科症例の診療を行っています。
「犬の皮膚病でずっと動物病院に通っているけれど全然治らない。」
こんなお悩みをお持ちの飼い主様がいらっしゃいましたらぜひ当院へご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
松井山手動物病院
犬の皮膚炎にオメガ3脂肪酸が効果的?皮膚の病気とサプリメントを解説
2025年12月14日カテゴリ|コラム
犬の皮膚炎にオメガ3脂肪酸が効果的?皮膚の病気とサプリメントを解説
犬の皮膚はとてもデリケートで、体の中でもトラブルが起こりやすい部分です。
実際に動物病院に来院する方の中でも、愛犬の皮膚トラブルの相談はとても多いです。
「最近、愛犬がかゆがっている」
「年齢のせいか、毛がパサついている」
「乾燥する季節でフケが多い」
そんな症状に悩む方も少なくありません。
そんな方におすすめしたいのが、オメガ3脂肪酸を含むサプリメントです。
実はオメガ3脂肪酸は、犬の皮膚の健康を守るうえでとても重要な成分です。
この記事では、犬の皮膚に起こりやすい病気とオメガ3脂肪酸の効果、よく使われるサプリメントについて詳しく解説します。
最後までお読みいただき、犬の皮膚病とオメガ3脂肪酸の関係について理解を深めましょう。
犬の皮膚で起こりやすい病気
犬の皮膚は外界に直接触れるため、アレルギーや感染、乾燥などの影響を受けやすく、さまざまな皮膚疾患が発生します。
これらの病気は、皮膚のバリア機能の低下や炎症が深く関係しています。
その炎症を抑え、皮膚の健康を支えるのがオメガ3脂肪酸です。
オメガ3脂肪酸が有効とされる皮膚疾患には、次のようなものがあります。
脂漏症
脂漏症は、皮膚の皮脂が過剰に分泌されることにより、ベタつきや皮膚炎を起こす病気です。
マラセチア皮膚炎
マラセチア皮膚炎は、真菌の一種であるマラセチアが増殖し、かゆみや皮膚炎を引き起こす病気です。
膿皮症
膿皮症は、不適切なスキンケアや乾燥、脂漏症などをきっかけに細菌が感染し皮膚炎を引き起こします。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、ハウスダストや植物など、環境中のアレルゲンに反応してかゆみや皮膚炎を起こします。
食物アレルギー
食物アレルギーは、フードやおやつの中に含まれる成分に対しアレルギー反応を起こし、かゆみや皮膚炎を引き起こす病気です。
犬の皮膚炎で使われるサプリメント
犬の皮膚炎は主に薬による治療を行います。
ですが、最近はサプリメントやスキンケアによる治療がよく併用されます。
中でもよく使われるサプリメントが、
- オメガ3脂肪酸
- 亜鉛
- ビオチン
- プロテオグリカン
- ビタミンE
などの成分です。
これらのサプリメントは、皮膚の炎症を和らげたり、再生を促したりすることで、皮膚の健康をサポートします。
特にオメガ3脂肪酸は炎症を抑える作用が期待され、犬の皮膚炎に使用されることが多いです。
オメガ3脂肪酸とは
オメガ3脂肪酸は、体の中で作ることができない必須脂肪酸の一種です。
つまり、フードから摂取しなければならない脂質ということです。
オメガ3脂肪酸は、
- EPA(エイコサペンタエン酸)
- DHA(ドコサヘキサエン酸)
- α-リノレン酸(ALA)
といった脂肪酸が挙げられます。
オメガ3脂肪酸はフードに含まれる魚が代表的な供給源です。
その他、魚油や貝類に多く含まれ、それらを原料にしたフードを利用するとオメガ3脂肪酸を摂取することができます。
オメガ3脂肪酸の主な効果
オメガ3脂肪酸はどのように皮膚の健康をサポートするのでしょうか。
また、オメガ3脂肪酸は皮膚以外にも、さまざまな臓器に効果があります。
それぞれを詳しく解説します。
皮膚への効果
オメガ3脂肪酸は抗炎症作用をもち、皮膚炎を抑えるように働きます。
また、オメガ3脂肪酸は皮膚の細胞膜の構成成分です。
皮膚のバリア機能や被毛の健康を維持する効果が知られています。
他の臓器への効果
オメガ3脂肪酸は関節や心臓、腎臓、脳にも効果があります。
具体的には、
- 関節の炎症を和らげる
- 心臓の負担を減らす
- 腎臓の負荷を和らげる
- 脳の機能をサポートする
といった効果です。
オメガ3脂肪酸は皮膚の健康はもちろん、全身の健康にも大切な栄養素です。
犬にオメガ3脂肪酸を与える際の注意点
オメガ3脂肪酸は副作用がほとんどない成分ですが、与える際にはいくつか注意が必要です。
それぞれ詳しく解説します。
摂取量を確認する
犬の体重により適切な量が決められていますので、製品のパッケージを確認しましょう。
アレルギーを確認する
オメガ3脂肪酸の原材料には、魚や貝類が多く使われています。
原材料にアレルギーがないか確認しましょう。
与え方を確認する
オメガ3脂肪酸は油に溶けやすい製品が多いので、フードと一緒に与えることがおすすめです。
保存方法を確認する
オメガ3脂肪酸は加熱や酸化に弱いため、保存方法や開封後の管理に注意が必要です。
犬の皮膚炎のためにできること
愛犬に皮膚炎を起こさせないためには、日頃の適切なスキンケアが大切です。
具体的には、
- 定期的にシャンプーをする
- 室内の湿度を適切に保つ
- 保湿ケアを行う
- 定期的に皮膚をチェックする
犬の皮膚炎は早期に発見できれば短期間で治療することができます。
小さな異変でも、気づいた時には早めに受診しましょう。
まとめ
犬の皮膚炎には、投薬以外にもさまざまな治療法があります。
特にオメガ3脂肪酸を上手に取り入れることで、愛犬の皮膚の健康をサポートすることができます。
当院では皮膚科の診療に力を入れています。
愛犬の皮膚トラブルにお悩みの際はいつでもご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
松井山手動物病院
犬の皮膚炎にクロルヘキシジンは効果的?正しい使い方と注意点を解説
2025年12月07日カテゴリ|コラム
犬の皮膚炎にクロルヘキシジンは効果的?正しい使い方と注意点を解説

犬の皮膚炎の治療は、自宅での投薬やシャンプーが中心です。
「治療しても皮膚炎を繰り返す」
「赤みがなかなか治らない」
「シャンプーしても改善しない」
そんな愛犬の皮膚炎に悩む方も多いのではないでしょうか。
実は、犬の皮膚の炎症や感染に対してクロルヘキシジンという成分が有効な場合があります。
この記事では、クロルヘキシジンの効果や犬の皮膚炎への使い方についてわかりやすく解説します。
最後までお読みいただき、正しいクロルヘキシジンの使い方を理解しましょう。
クロルヘキシジンの効果
クロルヘキシジンは医療用の消毒薬で、人では手指の消毒や手術器具の殺菌などに使われています。
広い範囲の細菌に作用し、特に犬の膿皮症の原因となるグラム陽性菌(ブドウ球菌など)や真菌(マラセチアなど)にも効果があります。
クロルヘキシジンは殺菌作用が持続しやすく、じわじわと成分を放ち続ける特徴があります。
犬にも比較的安全に使えるので、クロルヘキシジンは犬の皮膚炎の治療として消毒液やシャンプーとしてよく使われています。
クロルヘキシジンが使われる犬の皮膚炎
クロルヘキシジンは、
- 膿皮症
- アトピー性皮膚炎
- マラセチア皮膚炎
という皮膚炎で使われます。
また、治療だけではなく日頃の皮膚炎の予防として、定期的なシャンプーに使われることもあります。
クロルヘキシジンを含むシャンプーや消毒液の使い方
犬の皮膚炎の治療にクロルヘキシジンを取り入れる方法としては、主に2つあります。
それぞれ詳しく解説します。
薬用シャンプー
クロルヘキシジンを含む薬用シャンプーは、皮膚全体を洗浄しながら細菌の増殖を抑えることができるシャンプーです。
定期的に使用することで、愛犬の皮膚の清潔さを保つことができます。
シャンプーする際は5〜10分ほど泡を皮膚にとどめてから洗い流すと、クロルヘキシジンがしっかり浸透します。
また、シャンプーの頻度は週1〜2回程度が一般的です。
しかし、犬の皮膚の状態によりシャンプーの使い方も変わります。
シャンプーの濃度や頻度が高すぎると逆に皮膚炎を悪化させるので、必ず動物病院で指示された製品や頻度を守りましょう。
消毒液
皮膚の一部に感染や傷がある場合にも、クロルヘキシジンを含む消毒液が処方されることがあります。
コットンやガーゼに消毒液を含ませて、皮膚に直接塗布するのが一般的な使い方です。
この場合も濃度や頻度が高すぎると逆に皮膚炎を悪化させるので、必ず動物病院で指示された濃度や頻度を守りましょう。
クロルヘキシジン使用時の注意点
クロルヘキシジンはさまざまな使い方がある便利な成分ですが、使い方を誤ると皮膚トラブルを悪化させる可能性があります。
クロルヘキシジンを使用する時には、次の点に注意しましょう。
- 高濃度で使用しない
- 膣や耳などには使用しない
- シャンプー後はしっかり洗い流す
- 異常が見られたらすぐに使用を中止する
人において高濃度で使用した時に、アレルギー反応の発生が報告されています。
そのため、深い傷には約0.05%、外陰部などのデリケートな部分には約0.02%の低濃度で使うことが多いです。
また、皮膚のダメージや乾燥が強い時には、皮膚の刺激になってしまう可能性があるので、使う前は動物病院に確認しましょう。
クロルヘキシジン以外の治療法
犬の皮膚炎の治療には、クロルヘキシジンの他にもさまざまな方法があります。
具体的には、
- 抗菌薬
- 消炎剤
- サプリメント
- 保湿ケア
- 療法食
などがあります。
もし愛犬の皮膚炎が治りにくいときは、皮膚科での診察を行うと新しい治療が見つかるかもしれません。
小さな異変でも、気づいたときには早めに受診しましょう。
まとめ
犬の皮膚炎は慢性化しやすく、長期間治療を継続しなければならないケースがあります。
そんなときにクロルヘキシジンは、皮膚炎の改善や再発防止に役立ちます。
ただし、濃度や使用頻度を誤ると皮膚炎を悪化させる可能性があるため、必ず獣医師の診察を受けて使用しましょう。
当院は皮膚の診察に力を入れています。
愛犬の皮膚炎が治りにくかったり、クロルヘキシジンの使い方に迷ったりした際は、いつでもご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
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◎年末年始について◎
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