犬が「カハッ」と咳をする原因とは?考えられる病気や治療を解説
2025年11月14日カテゴリ|コラム
犬が「カハッ」と咳をする原因とは?考えられる病気や治療を解説
犬はさまざまな原因で咳をします。
「カハッ」「ケホッ」という乾いた咳をするもあれば、「ゴホゴホ」という湿った咳をすることもあります。
「風邪かな?様子を見れば治りそう。」
「喉に何か詰まったのかな?」
そのように軽く考えて、様子を見ていませんか?
実はその咳には、命に関わる病気が隠れている可能性があります。
この記事では、犬の咳の主な原因や病気の種類、診断、治療法について詳しく解説します。
最後までお読みいただき、犬の咳について理解を深めていきましょう。
犬の咳の主な原因
犬が咳をする原因は大きく分けて「呼吸器の病気」と「心臓の病気」によるものがあります。
呼吸器の病気としては、
- 気管虚脱
- ケンネルコフ
- 肺炎
- 肺腫瘍
- 慢性気管支炎
などがあり、心臓の病気としては、
- 僧帽弁閉鎖不全症
- 肺高血圧症
- フィラリア症
などがあります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
気管虚脱
気管虚脱とは、本来円柱の気管が加齢とともに扁平化し、空気の通り道が狭くなる病気です。
この病気は、チワワやポメラニアン、ヨークシャーテリアなどの小型犬に多く見られます。
気管虚脱が進行すると「ガーガー」という特徴的な咳を起こします。
そのまま呼吸困難に陥ることもあるため、早めの診察が必要です。
ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)
ケンネルコフは犬の咳の原因として代表的な感染症です。
感染の原因となる病原体は、
- 犬パラインフルエンザウイルス(CPIV)
- 犬アデノウイルス2型(CAV-2)
- 犬コロナウイルス(CCoV)
- ボルデテラ・ブルテリ(Bordetella bronchiseptica)
- マイコプラズマ属(Mycoplasma spp.)
などがあります。
乾いた咳が数週間続くことがあり、複数の犬が集まる環境で感染することが多いです。
肺炎
肺炎は、細菌やウイルスなどによって肺に炎症が起こる病気です。
湿った咳や発熱、食欲低下を伴うことがあります。
嘔吐を繰り返すことで、吐物による誤嚥性肺炎も多く起こります。
肺腫瘍
肺腫瘍は高齢犬に多く見られる原因の一つです。
肺腺癌や組織球性肉腫など、悪性の腫瘍が多いと言われています。
初期は無症状のこともあり、咳が現れる時にはすでに進行していることもあるので、注意が必要です。
慢性気管支炎
慢性気管支炎は、アレルギーや環境中の物質が原因となり、慢性的に気管支炎が起きる病気です。
投薬だけではなく、部屋の湿度や温度を適切に管理するなど対処が必要な病気です。
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は中高齢の小型犬に多く見られる病気です。
心臓には4つの部屋がありますが、そのうちの左心房と左心室の間にあるのが僧帽弁です。
僧帽弁閉鎖不全症では、僧帽弁がぴたりと閉まらなくなり血液が逆流します。
これにより心臓が大きくなり、気管を圧迫することで咳が出ます。
肺高血圧症
肺高血圧症は、何らかの原因で肺動脈の血圧が上がることで、咳や呼吸困難が現れる病気です。
完治が難しく、専門的な検査や治療が必要な病気になります。
フィラリア症
フィラリア症は、蚊を介して感染する寄生虫(犬糸状虫:Dirofilaria immitis)が心臓や肺動脈に寄生し、咳や運動不耐を引き起こす病気です。
現在はフィラリア予防が普及しこの病気の発生も少なくなりましたが、一度感染すると長期間の治療が必要になります。
犬の咳以外に注意すべき症状
咳だけでなく、次の症状が見られる場合は早急に診察が必要です。
- 呼吸が速い
- 呼吸が苦しそう
- 舌や歯茎が紫色になる(チアノーゼ)
- 食欲がない
- 元気がなくぐったりしている
- 鼻水が出ている
- 発熱している
これらの症状がある場合は、病気がすでに進行している可能性があります。
犬の咳の治療方法
犬の咳の治療は、その原因により様々です。
それぞれの原因に対する治療法を解説します。
感染症(ケンネルコフ、肺炎など)
感染症の治療として、抗生剤や抗ウイルス薬を使用します。
気管虚脱
気管虚脱は、鎮咳薬などの内科治療のほか、気管を広げる手術を行う場合もあります。
心臓病(僧帽弁閉鎖不全症、肺高血圧症など)
心臓の病気は、心臓の状態に合わせた投薬(血管拡張薬、利尿薬、強心薬など)による治療が中心です。
肺腫瘍
犬の肺腫瘍は悪性のものが多いため、手術による治療が中心となります。
まとめ
犬の咳にはさまざまな原因があり、その中には命に関わる病気も含まれます。
早期に原因を見つけ治療をしてあげることで、症状の悪化を防ぐことができます。
当院では、心臓病の診察に力を入れています。
軽い咳でも様子を見ずに、まずは気軽にご相談ください。
松井山手・八幡・枚方・長尾の動物病院
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