

犬の僧帽弁閉鎖不全症のステージB1とは|無症状でも油断は禁物
2025年08月07日カテゴリ|コラム
犬の僧帽弁閉鎖不全症のステージB1とは|無症状でも油断は禁物
犬には僧帽弁閉鎖不全症という心臓の病気が存在します。
僧帽弁閉鎖不全症は、小型犬に多い心臓病で、進行すると咳や呼吸困難などの症状が現れる怖い病気です。
この病気には段階(ステージ)ごとに分類があり、ステージはAからDまであります。
今回は、僧帽弁閉鎖不全症のステージB1について、この段階でできる治療や注意点を含めて詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、僧帽弁閉鎖不全症に備えるきっかけにしてください。
僧帽弁閉鎖不全症とステージ分類(ACVIM分類)
僧帽弁閉鎖不全症は、心臓内の血液が逆流することで心臓に負担をかけ、進行すると心不全を引き起こす病気です。
この病気には、アメリカ獣医内科学会(ACVIM)が提唱したステージ分類があり、
- ステージA
- ステージB1
- ステージB2
- ステージC
- ステージD
の5つに分かれています。
今回はこの中でもステージB1について詳しく説明していきましょう。
ステージB1とは?
犬の僧帽弁閉鎖不全症ステージB1は、「心雑音が聞こえるものの、心拡大が認められず、症状も出ていない」状態です。
この段階では、心臓に軽度の異常(僧帽弁の変性や逆流)が見つかることはあるものの、超音波検査で心臓の大きさに変化はなく、症状もないため、飼い主様は気づきにくいことがあります。
具体的には、次のような犬が該当します。
- 聴診で心雑音を指摘されたが、心拡大は認められなかった犬
- 超音波検査で僧帽弁の変性やわずかな逆流が確認された犬
僧帽弁閉鎖不全症はステージが進行する前に止めることが重要です。では進行を防ぐためにはどのようなケアが必要なのでしょうか。
ステージB1での治療とケア
ステージB1の段階では、薬による治療は原則不要ですが、病気の進行を防ぐために生活習慣の見直しと定期的な経過観察が重要です。
体重管理
肥満は心臓に負担をかけるため、しっかりと体重管理をして理想体重を維持しましょう。
適度な運動
無理のない範囲での散歩や運動を継続し、心臓と全身の健康を保ちましょう。
栄養バランスの良い食事
ステージB1の段階で特別な心臓用療法食は不要なことが多いですが、過剰な塩分や人間の食べ物は避け、健康維持に必要な栄養を確保しましょう。
ストレス管理
急激な環境変化やストレスは心臓に負担をかけることがあります。犬が安心できる生活環境を整えましょう。
定期健診
半年から1年に1回程度、心音聴診や心臓超音波検査、胸部レントゲンなどを受け、心拡大の有無を確認します。早期発見と進行防止のためにも、定期健診は欠かせません。
まとめ
犬の僧帽弁閉鎖不全症にはステージ分類があり、ステージB1は「心雑音が聞こえるものの、心拡大や症状はまだない状態」です。
僧帽弁閉鎖不全症は進行すると症状がないからといって油断せず、日々の生活管理と定期検診で心臓の状態を把握しておくことが大切です。
当院では、循環器に力を入れており、僧帽弁閉鎖不全症の早期発見・進行予防のための検査やアドバイスを行っています。
「心雑音があると言われたけど、どうしたらいい?」とお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。
愛犬の心臓を守るために、今からできることを始めましょう。
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