

犬の天疱瘡|犬の顔に水ぶくれやカサブタそして脱毛。天疱瘡とはどんな病気?
2025年05月14日カテゴリ|コラム
犬の天疱瘡|犬の顔に水ぶくれやカサブタそして脱毛。天疱瘡とはどんな病気?
犬の皮膚病に天疱瘡という病気があります。
天疱瘡とは免疫が自分の皮膚を攻撃してしまう自己免疫性疾患の1つです。
犬でよく見られる犬アトピー性皮膚炎や膿皮症などとは異なり、あまり聞き慣れない病気かもしれません。
「天疱瘡ってどんな病気なの?」
「犬が天疱瘡になってしまったらどうしたらいいの?」
という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
今回はこの犬の天疱瘡について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の天疱瘡についての理解を深めましょう。
犬の天疱瘡とは
犬の天疱瘡は自己免疫性疾患の1つです。
免疫に異常が起きて自分の皮膚を攻撃してしまうことで皮膚に症状が現れます。
病変が現れる部位や症状によって
- 落葉状
- 紅斑性
- 尋常性
- 増殖性
の4つに分類されます。
犬では落葉状天疱瘡が最も多く、その次に尋常性天疱瘡が多いです。
増殖性天疱瘡は稀です。
発症は4〜5歳の犬に多いといわれています。
好発犬種には
- 秋田犬
- ドーベルマン
- チャウチャウ
- ジャーマンシェパードドッグ
- ミニチュアダックスフント
- ニューファンドランド
などが挙げられます。
犬の天疱瘡の原因
犬の天疱瘡は、免疫に異常が起きて自分の皮膚のタンパク質を攻撃してしまうことで起こります。
攻撃の標的になるのは皮膚の細胞間を接着させているタンパク質です。
細胞間の接着が障害されることで皮膚にトラブルが起きて症状が現れます。
紫外線が悪化要因の1つとも言われていますが詳しくはまだわかっていません。
天疱瘡は一般的には夏に発症することが多く、悪化する症例も夏に多いと言われています。
紫外線が強くなる夏に多い病気ということは、紫外線が関連している可能性は高いのかもしれませんね。
犬の天疱瘡の症状
犬の天疱瘡では皮膚や口の中に
- 水疱
- びらん
- かさぶた
- 脱毛
などができます。
犬で多い落葉状天疱瘡では最初に病変部が赤くなり、次に水疱になり、それが破れてかさぶたになるというように症状が進行していきます。
落葉状天疱瘡では主に
- まぶた
- 鼻筋
- 耳
- 肉球
- 指の間
などに症状がみられることが多いです。
かゆみの程度は様々ですが、二次的に感染がある時には強いかゆみが出ることもあります。
「犬の鼻にカサカサしたかさぶたがある。」
「犬の皮膚に水ぶくれのようなものがある。」
こんなことがあったら、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
犬の天疱瘡の診断
犬の天疱瘡を診断するには、症状がある部分の皮膚を検査します。
細菌培養検査を行うことで他の皮膚疾患との鑑別を行います。
しかし天疱瘡が進行していると細菌感染も併発していることがあるため、鑑別が難しいです。
確定診断をするためには病変部分の組織を病理検査に出します。
病理検査では、組織学的検査や免疫組織学的検査と呼ばれる詳しい検査を行います。
犬の天疱瘡の治療
犬の天疱瘡は自己免疫疾患です。
天疱瘡の治療では免疫の異常な働きを抑えるために、ステロイドや免疫抑制剤を使用します。
薬の投与は長期間に及ぶことが多いです。
皮膚の症状をみながら、改善していれば薬の量を減らしていきます。
また、細菌感染が併発している場合は抗生物質を合わせて使用することもあります。
犬の天疱瘡はコントロールが難しく再発も多いです。
獣医師としっかりと相談しながら適切な投薬を行いましょう。
犬の天疱瘡の予防
犬の天疱瘡には確実な予防方法はありません。
紫外線は天疱瘡の悪化要因ともいわれています。
紫外線への対策は有効かもしれません。
- 外出時には服を着せる
- 屋外飼育の場合は屋根を広くする
などの方法を試してみるのもいいですね。
まとめ
天疱瘡は一度発症すると長期的な治療が必要な病気です。
犬の皮膚にかさぶたや水疱などの症状が見られたらなるべく早く動物病院に行きましょう。
治療が始まったら根気強く通院することが必要です。
当院は皮膚科診療に力を入れています。
犬の皮膚トラブルについてのご相談がありましたら、ぜひ当院にお問い合わせください。
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